有利になるとは限らない!! ドラレコ提出と意外に知らない大事な確認事項

 今や最も欲しいカー用品の断トツナンバーワンに君臨するまでになったドライブレコーダー。装着率は日を追うごとに高くなっている。

 ドライブ時に風景や室内の和気あいあいとした様子などを動画として残すエンターテイメント性も人気の要因だが、何を言っても事故時やあおられた時の証拠を記録するアイテムとしての利用価値が高い。

 しかし、このドラレコに記録された映像の取り扱いにはちょっと注意が必要。なにしろ、自分に非がない時には有利になる材料となるが、逆に自分に非がある時は、その映像を誰かに見せるのはためらうもの。

 事故の時などでドライブレコーダーの映像に提出義務はあるのか? そんな疑問に対して、国沢光宏氏が解説する。

文/国沢光宏、写真/奥隅圭之、池之平昌信、BOSCH、Adobe Stock

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ドライブレコーダーの画像の証拠能力が高まっている

ドライブレコーダーの装着率は今や50%を超えて、必需品となっている。その画像、動画による証拠能力は高くなっている(toa555@AdobeStock)

 よく「ドライブレコーダーの画像は誰のものか?」と聞かれる。以下のケースを考えてほしい。

 自分は優先道路を普通に走っている。そこに一時停止標識のある路地から減速すらしない車両が優先道路に飛び出してきた。避けられず衝突します。もちろん過失割合は相手のほうが圧倒的に大きい。もしドラレコの画像がなければ「80対20」くらいになる。

 けれど最近になって優先道路側の車両(自分側)が制限速度+α程度であり、横から飛び出してくる車両(相手側)を回避できないような状況のドラレコの画像があれば「優先道路側(自分側)の過失はなしですね」というケースも出てきた。

 そらそうです。避けようがないですから。じゃなんで今まで80対20だったのか? なんの証拠もなかったからに他ならない。

 もしかしたら十分避けられた状況だったかもしれません。証拠がなければ言い合いの水掛け論。「ラチがあかないので80対20にしておきましょう」、ということになっている。

 けれど、「ブツけてやる的に飛び出してこられたら避けられないですね」といったドラレコの証拠あれば、優先道路を普通に走っている側に過失などあるワケないです。

 したがって「避けられない事故だ」とドラレコの画像で証明できたら、最近は100対0、すなわち相手側の過失が100%認められる事故も増えてきた。

ドラレコの画像の証拠能力が高まったことで、相手側に100%事故原因がある場合などは、100対0になることもある(Panumas@AdobeStock)

画像を提出して不利になるケースはどうする?

 さて。同じような事故パターンであっても、自分のクルマの速度が制限を大きく超えているとしたらどうなるか? 流れに乗っているなら問題ないけれど、30km/hくらいオーバーしてたら厳しい。

 そんな画像を出したって「あんたスピード出しすぎでしょう!」となり、本来なら20%の過失ですむのに、それ以上の責任を問われることになる可能性が出てくる。

 だったらドラレコの画像なんかないほうがいい。

 ここで文頭に戻る。ドラレコの画像が自分のモノなら提出しなければ今までと同じ20%の過失ですむ。公的なモノなら提出の義務があります。

事故をした時にドライブレコーダーの画像の提出義務はない。だから明らかに自分に不利になるような状況は映っていなかったとするのが得策(Adobe Stock@Wilson. P)

 結論から書くと、現時点では100%自分のモノだ。提出したくなければ出さなくてもよい。

 ただ「出したくない」と言うと悪いことをしているように勘ぐられてしまうため逆効果。

 交通事故を扱う弁護士に聞いてみたところ、「映っていなかった」とするのがもっともも無難かつスマートな対応だという。実際、ドラレコのトラブルは多い。

ちゃんと映っているのかを早急に要確認のこと

 皆さん、自分のクルマのドラレコ画像、キチンと録画されているかチェックしているだろうか? 少なからぬ人がドラレコを付けただけで満足しているように思う。

 取り付けた時こそ映っていたけれど、SDカードなどに何度も上書きしているうち、記録できなくなってしまうことだってある。事故時のログが上書きされてしまうこともあるだろう。

 できれば早速調べてみてほしい。SDカード、入っているだろうか? キチンと相手車両のナンバーなど映っているだろうか? 急ブレーキを掛け、減速Gを出した時の記録が残っているだろうか?

 映っていなければ無実を証明することだってできなくなります。SDカードは消耗品だと割り切り、2年に1度くらい交換したらいい。

SDカードをはじめとする記録メディアは消耗品と割り切って、2年1度くらいの交換がオススメ(Fototocam@Adobe Stock)

将来的には提出が義務付けられる可能性もある

 閑話休題。事故に遭遇したら、とにかく相手が悪いかどうかしっかり考えたい。もし自分に責任ないようならドラレコの動画を提出し、自分に過失のないことを証明すること。これこそドラレコ本来の目的である。

 逆に不利となりそうなら、弁護士の教え通り録画できていなかったなどという理由で提出を断り、後で入念にチェックすればいい。

 とはいえ任意提出が普通になったら本当の事故原因など解らなくなってしまう。本来なら航空機のように強制的に提供させるべきだと思う。

 昨今のAI技術で解析すると、避けられた事故か、それとも避けられなかった事故なのかまで推察できる。遠からず事故を起こしたらお互いの車両のドラレコ画像を解析し、AIで事故割合を出すようになると思う。

 それには道交法か車両運送法でクルマにドラレコ装備を義務付け、さらにSDカードなど記憶媒体は車検時に交換&稼働確認した後、封印。事故を起こした時に警察がその封印を外して事故解析をするといった方策が必要だと私は考えます。

 すべての車両に装着することで、正しい判定を下せるようになる。安全運転こそ正義の交通社会はすばらしい。

ハリアーには前後録画機能付きのデジタルインナーミラーがSを除き標準装備。ドラレコ装着義務付けとなる日も遠くない!?

 ドラレコと同じようなシステムに「EDR」(Event Data Recorder/車載型事故記録装置)がある。事故時の速度や衝撃G、アクセル開度、ブレーキ踏力などを記録するもの。EDRは専用の解析装置をつかわないとならないが、かなり正確に事故時の状況が判ります。

 EDRの記録、誰のモノかといえば、これまたユーザーに権利ある。提出は任意だということを知っておいてほしい。

ボッシュのCDRハードウェアで、これを使ってEDRに記録されたデータを読み出すことができる

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