トヨタ ヴォルツが消えた背景 GMと共同開発も僅か約2年の超短命車!【偉大な生産終了車】

トヨタ ヴォルツが消えた背景 GMと共同開発も僅か約2年の超短命車!【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ ヴォルツ(2002-2004)をご紹介します。

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文/伊達軍曹、写真/TOYOTA


■米GMと共同開発 逆輸入車で

 トヨタ(シボレー)キャバリエの国内販売不振で学んだトヨタが、企画段階からGMと手を組み、トヨタ主導により開発したクロスオーバーSUV。

 だがそれでも不格好だったせいか日本市場ではまったく受けず、わずか1年8カ月で消えていった一台。それが、トヨタ ヴォルツです。

 トヨタ ヴォルツは、2002年8月に発売となったトヨタとGMの共同開発車。

 当時のカローラをベースとする、SUV/ステーションワゴン/ミニバンの長所を取り入れたクロスオーバーな「新ジャンル」と説明されました。

2002年8月、日本ではネッツ店でスプリンターカリブの後継として販売されたトヨタ ヴォルツ
2002年8月、日本ではネッツ店でスプリンターカリブの後継として販売されたトヨタ ヴォルツ

 プレスリリースによれば、メインターゲットは「アクティブなライフスタイルを志向する若者」とのこと。

 車両の企画はトヨタとGMが共同で行い、設計と評価はトヨタが担当。生産は、GMとの合弁会社であるカリフォルニアの「NUMMI(New United Motor Manufacturing, Inc.)」で行われました。

 北米名は「ポンティアック ヴァイブ」または「トヨタ マトリックス」です。

 搭載エンジンは、標準となるのが最高出力132psの1.8L直4DOHCで(※4WDは125ps)、そのほかに同190psのハイチューン版1.8L直4も用意。トランスミッションは4速ATのほか、190psモデルは6MTも選択可能でした。

 駆動方式は、190ps仕様はFFのみでしたが、標準エンジン搭載車はビスカスカップリングを用いた4WDモデルもラインナップされました。

 走りは「可もなく不可もなく」といったニュアンスでしたが、さすがは米国で企画された車だったからでしょうか、前席と後席居住空間および荷室の広さは十分で、クロスオーバーSUVゆえの高めの最低地上高ゆえに、使いやすく扱いやすい車ではありました。

ヴォルツのインテリア
ヴォルツのインテリア

 そんなヴォルツは、というか北米版のヴァイブとマトリックスはまずまず好調なセールスを記録したそうなのですが、日本のヴォルツは箸にも棒にもかからずで、あまり(というかほとんど?)売れませんでした。

 そのためトヨタは2004年4月、発売からわずか1年8カ月ほどでとっととヴォルツに見切りをつけ、販売終了としました。

 しかし北米のポンティアック ヴァイブは2008年、しぶとく2代目へとフルモデルチェンジを実施。

 しかしこちらもGM倒産の煽りを受けてポンティアックブランドが廃止となり、2009年中には廃番となったようです。

次ページは : ■販売期間わずか1年8カ月 ヴォルツ生産終了の背景

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