2019年12月末の世帯当たり軽四輪車の普及台数は100世帯に54.40台となっている。特に一家に1台ではなく、ひとり1台という地方都市では生活の足としてなくてはならない存在だ。
しかし近年、軽自動車は200万円することが珍しくなくなっており、コンパクトカーのほうが安い……なんてモデルまである状態だ。
そんな高額化している軽自動車だが、今後導入される2030年度燃費基準を受けて、その価格がさらに上昇する恐れが出てきた。何が原因で価格の上昇が起きるのか? また軽自動車がその独自性を守り生き残るためには何が必要なのか? 考察していく。
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、HONDA、DAIHATSU、編集部
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■性能向上で大人気も 価格が上がり続ける軽自動車
2020年に国内で売られた新車のうち、軽自動車が37%を占めた。2012年以降は、おおむねこの比率を保っている。軽自動車は日本で最も多く販売されるカテゴリーになり、メーカー別販売ランキングでも、2020年にはスズキがトヨタに次ぐ2位に入った。
好調に売れる軽乗用車の中で、約半数を占めるのがスーパーハイトワゴンだ。全高は1700mmを上まわり車内は広い。4名乗車時も快適で、後席を畳めば自転車などの大きな荷物も積める。後席のドアはスライド式で乗降性もいい。ミニバンのような空間効率と実用性により、子育て世代を中心にスーパーハイトワゴンは高い人気を得ている。
軽自動車の販売ランキングでも、上位はスーパーハイトワゴンが独占する。1位はホンダ『N-BOX』、2位はスズキ『スペーシア』、3位はダイハツ『タント』だ。
これらのスーパーハイトワゴンは、車内が広くシートアレンジも多彩で、電動スライドドアなどの装備も充実する。最近は先進的な衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能なども採用している。
安全装備の充実はもちろん好ましいが価格も高まる。例えばN-BOXでは、機能に対して価格の割安な標準ボディの「L」が155万9800円、エアロパーツなどを装着する上級の「カスタムL」は176万9900円、ターボを搭載して装備をさらに充実させた「カスタムEXターボ」は201万9600円に達する(駆動方式はすべて2WD)。
スーパーハイトワゴンを含めて、軽自動車は競争が激しく、機能や装備と価格のバランスはライバル車も同等だ。スペーシアも割安な標準ボディの「ハイブリッドX」が152万4600円、上級の「ハイブリッドXSターボ」は183万5900円だ。タントは標準ボディの「X」が149万500円、上級の「カスタムRS」は185万3500円になる。
このようにスーパーハイトワゴンの価格は、標準ボディの割安なグレードが150~155万円、カスタムと呼ばれる上級シリーズは、ターボと充実装備を搭載する仕様が180~200万円に達する。
ちなみにコンパクトカーのホンダ『フィット』は、ノーマルエンジンを搭載する売れ筋の「ホーム」が171万8200円、e:HEV(ハイブリッド)の「ホーム」は206万8000円だ。軽自動車のスーパーハイトワゴンは、コンパクトカーに近い価格設定になる。
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