アイドリングストップの損得は?
さて、アルファード&ヴェルファイアの2.5Lガソリン車(2WD)を例に、前述の2万円+ガソリン代※で仮定すると、1万kmあたりのガソリン代は、アイドリングストップなしで14万円、アイドリングストップありは13万3000円となる。
(※燃費=アイドリングストップなし10.0km/L、アイドリングストップあり10.5km/L、レギュラーガソリン1L/140円で計算)
そして、アイドリングストップの損得勘定において焦点となるのは、12Vバッテリーの交換代だ。
アイドリングストップなしであれば、12Vバッテリーは5年5万km程度持つと思われ、価格も通販サイトで大手のものを見ると、アルファード用で特上クラスが2万円、上クラス1万6000円といったところなので、後者を使うと仮定する。
いっぽう使い方によっても大きく左右されるが、アイドリングストップ付き車の12Vバッテリーの寿命は、3年3万kmが平均的だろう(休日の近距離利用というパターンが多い人だと2年持たないこともあるという)。
アイドリングストップが付くアルファード 2.5ガソリン車(2WD)だと、12Vバッテリーは、アイドリングストップに対応した特上クラスが必要となり価格は2万2000円程度なので、1回のバッテリー交換でアイドリングストップなしに対する差額は6000円となる。
この仮定で計算していくと、アイドリングストップの有無で以下のような試算ができる。
【3年3万kmで乗り替え】
■アイドリングストップ「なし」
ガソリン代/14万円×3=42万円
■アイドリングストップ「あり」
アイドリングストップ機構の価格/2万円
ガソリン代/13万3000円×3=39万9000円
1回目の12Vバッテリー交換代/2万2000円
=合計/44万1000円
【5年5万kmで乗り替え】
■アイドリングストップ「なし」
ガソリン代/14万円×5=70万円
1回目の12Vバッテリー交換代/1万6000円
=合計71万6000円
■アイドリングストップ「あり」
アイドリングストップ機構の価格/2万円
ガソリン代/13万3000円×5=66万5000円
1回目のバッテリー交換代/2万2000円
=合計70万7000円
【10年10万kmで乗り換え】
■アイドリングストップ「なし」
ガソリン代/14万円×10=140万円
1回目の12Vバッテリー交換代/1万6000円
=合計141万6000円
■アイドリングストップ「あり」
アイドリングストップ機構の価格/2万円
ガソリン代/13万3000円×10=133万円
3年目、6年目、9年目のバッテリー交換3回/6万6000円
=合計141万6000円
アイドリングストップがあってもランニングコストは大差なし!?
あくまで机上の計算では、アイドリングストップ「あり」は、燃費が向上しガソリン代は安くなるが、アイドリングストップの装着費、燃費向上ぶんや12Vバッテリー交換代まで長い目で見て総合すると大差ない。
この程度ならアイドリングストップありだと12Vバッテリー交換が多くなる手間の方が煩わしいと思う。
さらに今回は入れなかったが、アイドリングストップ「あり」で12Vバッテリーを交換すると、ディーラーなどでのセットアップが必要な場合もあり、その費用が掛かるとアイドリングストップ「あり」の方が長い目で見た出費が高く付く可能性も充分ある。
また、環境負荷という観点でも、何度か書いているようにアイドリングストップでガソリンが節約できても、12Vバッテリーそのものの消費が増えるという点は深く考えるべきことだろう。
そのため、ヤリス/ヤリスクロス、RAV4とハリアーのガソリン車といった最近のトヨタ車が総合的判断もあり、アイドリングストップを装着していないことにトヨタの判断力の確かさを強く感じる。
◆ ◆ ◆
今後アイドリングストップの装着はCAFE(企業平均燃費基準)の導入により、是が非でもカタログ燃費を上げる必要のあるメーカーもあるため、付けるメーカーと付けないメーカーで対応が真っ二つに分かれるかもしれない。
アイドリングストップ装着車の12Vバッテリーを長持ちさせたいのであれば、筆者も愛車のGRヤリスでそうしているが、とりあえずアイドリングストップをオフにして12Vバッテリーの負担を減らすというのがいいだろう。
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