ペダルひとつで加速も減速も思うまま! 日産 e-POWERの普及で脚光浴びた「ワンペダル」ドライブの狙いとメリット、デメリットとは?
日産は2020年12月、新型ノートe-POWERを発売。従来設定のあった純ガソリン車を廃止し、エンジンで発電し、モーターで駆動する「e-POWER」専売となった同車は、発売後約1か月となる2月1日時点で2万44台を受注。月間販売目標の2.5倍に達するなど人気も好調だ。
そんなe-POWER独自の特徴が冒頭の「ワンペダル」感覚のペダル操作。アクセルペダルを「踏んで」加速させるだけでなく、「放す」ことで大きく減速できるワンペダルのメリット・デメリット、そして他社が追従しない理由とは?
文/御堀直嗣 写真/NISSAN
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■リーフから始まった「ワンペダル」は独特で新鮮な運転感覚
日産自動車は、独自のハイブリッドシステムであるe-POWERの特徴のひとつとして、アクセルのワンペダル操作を売りとしている。しかし、他社のハイブリッド車(HV)では、減速での回生の強弱切り替えは備えても、ワンペダルの採用はまだない。
アクセルペダルでのワンペダル操作は、e-POWERだけの機能ではなく、日産の電気自動車(EV)であるリーフも初代から利用できた。また、EVのテスラや、BMWのi3なども、当初からワンペダル操作はできていた。
特に初期のi3は、e-POWERと同様に積極的にワンペダル操作を使うよう促すアクセルの設定となっていた。そのため、はじめて試乗した際には、エンジン車での運転の癖が抜けていなかったため、戸惑いはあったが、間もなく慣れた。
ワンペダル操作は、HVかEVかによるのではなく、モーター駆動のクルマで可能になる運転操作で、モーターは電気を流せば回転力を出し、力を加えれば発電するという、独自の機構によって成り立つ。
エンジン車では、加速のあとアクセルペダルを素早く戻す癖がついている。そのままワンペダル操作をすると、回生が強く働きすぎて急減速してしまい、滑らかな走行ができなくなってしまう。
ワンペダル操作のコツは、アクセルペダルを踏むときも戻すときも、加減速の様子を確かめながら、穏やかに右足を動かすところにある。
モーター駆動では、発進~加速の際にも、穏やかなアクセル操作で充分な加速が得られる。エンジンと違ってモーターは、電気が流れはじめたところから最大トルクを発生できる動力特性を持つからだ。
エンジン車と同じ操作感覚で発進~加速を続けていると、電力消費が増え、一充電走行距離を自分の運転のせいで短くしてしまうことにもなる。
穏やかなアクセル操作は、モーター駆動のワンペダル操作だけでなく高性能エンジン車でも求められる運転の仕方だ。急なアクセル操作は、タイヤを空転させかねず、それによって滑りを生じ、姿勢制御不能になる恐れがあるためだ。
今日では、超高性能のスポーツカーやGTカーであっても、駆動力制御が行われているため、そうした繊細な操作が必要であることは実感しにくい。
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