■3シリーズってなにが”いいクルマ”なの?
ベストカー読者の思うBMW像は前述したとおり。それにしてもやはりメカニズムへの大きな信頼、そして乗り味などの官能評価の部分でもファンが多い理由がなんとなくわかってきた。
そんなBMWのなかでも特に登場する機会が多いのが3シリーズ。自動車媒体や多くのメーカーの開発者が”3シリーズ”をベンチマークにしている。
漠然とFRセダンのお手本になっているのは知っていても、「なにがすごいの!?」という疑問がフツフツとわいてくる。
BMWというブランドがそう思わせているんじゃないの!? なんてことを思う人も多いはず。ジャーナリストの鈴木直也さんに聞いてみました(編集部)。
E36の時代あたりからだからもう四半世紀以上3シリーズはスポーツセダンのベンチマークとして君臨している。
今も昔も変わらないのは、前後重量配分50:50のFRレイアウトという部分と、「思う存分振り回せるサイズ」という車格感。
パッケージングコンセプトはほとんど変わっていない。これだけなら、ライバルにも簡単に真似ができそうに思える。
事実、ライバルのベンツCクラスが3シリーズを意識した機敏なハンドリングをウリにしていたこともあるし、最近ではアルファロメオジュリアはまんま「イタリア製3シリーズ」という感じ。
キャデラックのATSなんかも足回りは3シリーズそっくりなレイアウトを採用している。にもかかわらず、どのライバルも3シリーズを打ち負かすことができない。その理由は3シリーズの持っているバリエーションの厚みじゃないかとボクは考えている。
スポーツイメージで見れば誰もがM3を思い浮かべるが、もちろんそれが3シリーズのすべてじゃない。
320dなら燃費のいいエコカー、330eならハイテクなプラグインハイブリッド、ベーシック仕様なら3気筒1.5Lの318iも揃っている。肝心なのはこういう豊富なバリエーションすべてで、優れたハンドリングや走りの楽しさという「駆けぬける歓び」の価値観を共有していること。
もちろん、具体的に見ればM3と318iのハンドリングはまったく異なっているが、それはまったくの別物というわけではなく、いってみれば”相似形”の関係。
ルーツを同じくする同族意識をちゃんと感じることができるのだ。この辺が3シリーズに挑戦するライバルの及ばないところ。まだまだ3シリーズの牙城は安泰のように思います。
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