■日産ムラーノ 2004〜2015年
早すぎた存在と思えるのが、日産の都市型高級クロスオーバーSUVのムラーノだ。
ライバルとなるトヨタハリアーが“ちょいワル”といわれるように都市型でもSUVらしいワイルドさを意識しているのに対して、ムラーノは飽くまでファッショナブルを貫いた。
クロスオーバーの本場、アメリカの都市に映える洗練された雰囲気が魅力なのだ。
スタイルは2004年登場の初代の方が尖っているが、2008年の2代目も、モダンに仕立てられている上、日本にこそ導入されなかったが、「クロスカブリオレ」という2ドアクーペライクなオープンモデルも設定。
これがレンジローバーイヴォーク・コンバーチブルを見れば、かなり先進的だったことが分かるはず。限定でも構わないから、ぜひ日本でも発売されなかったことが悔やまれる。
SUVブームの今、気軽に手を出せる初代や2代目に乗るのもアリかも……。因みに海外ではムラーノは第3世代に進化。しかし独自のスタイリングの魅力が薄まり、サイズもアップ。日本導入がなくとも全く気にする必要はない。
■ダイハツムーヴコンテ 2008〜2017年
「どうも、カクカク・シカジカです」という謎の鹿キャラが宣伝していた「ムーヴコンテ」は、2008年デビュー。その名が示すように、ムーヴの派生車だ。
ただ4代目ムーヴは流線形スタイルを取り入れたのに対して、こっちは「カクカク」のスクエアなデザインとした遊び心あるものとした。
インテリアもフランス人デザイナーが手掛けたプレミアムソファーシートをCMでアピールするなど、近年のボックス軽のお洒落カフェ風インテリアの流れを作ったともいえるだろう。
当時、軽自動車初の「運転席パワーエントリーシート」を採用するなどおもてなしにも配慮。でも価格は、わずかにムーヴより高いだけとダイハツらしいコスパ感覚も持ち合わせていた。
意外にも(?)昨年の3月まで販売されていたロングセラー車で、その間、モデルチェンジなし。それだけキャラが確立されていたともいえる。
この遊び心あるクルマ作りが、ミラココアや現行型のムーブキャンパスに活かされたのだろう。因みに、後味をひくように気になる「カクカク・シカジカ」も昨年引退。声の担当は、個性派俳優の生瀬勝久氏が担当していた。
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それぞれのカテゴリーで強く輝いた(一部はそうでもないが……)モデルたち。振り変えれば、どれも独自のキャラクターを持っていたことがわかる。
またプロダクトとしては魅力的でありながらもロングセラーゆえに、その存在が薄まってしまったケースや、それでも当時としては先進的な機能や考え方が盛り込まれていた。
どのモデルも、時代の波にのまれつつも、その魂は最新型車の誕生に大きく貢献していることは言うまでもない。
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