日々続々と登場する新型車たち。華やかに登場する新型車のいっぽうで、1世代や短命に終わるもの、さらに伝統に幕を下ろすクルマたちも見られる。
新型車は登場するたびに「なぜこの新車が登場したか」、「この新車の特徴は」と多くのメディアで語られるが、生産終了となって新車市場から去ってゆくクルマたちの多くは、ただ何も言わず、何も語られずに去ってゆく。
そんななか、様々な事情で去っていったモデルのなかで、特に近年「なぜ生産中止となったのか」が語られなかったクルマたち6台を選び、その歴史と特徴、去っていった事情を振り返ってみたい。
「日本の自動車分化を彩った」という意味では、新型車も生産終了車も同じ役割を果たした。時々でよいので、こうして去ってゆくクルマたちのことも思い出してゆきたい。
文:大音安弘
■三菱 ギャランフォルティス 2007〜2015年
三菱にとって、国内最後のオリジナルセダンとなったギャランフォルティスは、2007年8月にデビューした。
国内では「ギャラン」の名を受け継いだものの、世界的には7代目ランサーとして投入。この背景には、日本ではコンパクトな6代目ランサーが継続販売されたことがあった。
ただご存知の通り、「ランエボX」はこのギャランフォルティスがベース。ランエボが特別な存在だったとはいえ、なぜギャランなの? 中身はやっぱりランサーなの? というモヤモヤをユーザーに生んでしまった感は否めない。
スタイルは、標準車の「エクシード」とスポーティな「スポーツ」を設定するも、2.0Lの自然吸気4気筒エンジンとCVTの組み合わせを基本とするなど、特に目新しさはなかった。
しかし、翌年に待望のスポーツグレード「ラリーアート」を投入。240ps/350Nmと控えめながらも、DCTタイプのSSTを含め、パワートレインはランエボ譲りとし、走行モード選択が可能な電子制御4WDシステムも備えるなど、かつてのギャランVR-4を連想させるものがあった。
また2008年12月には若々しいスタイングの5ドアハッチバック「スポーツバック」も追加するも、販売は振るわず、2015年に国内販売を終了した。
しかしながら、プチランエボともいえるラリーアートは現在もファンに支持されており、標準車とは比較にならないほど高価な価格で取引されている。
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