気づけば去っていた愛すべきクルマたちの事情と長所 6選

■トヨタラクティス 2005〜2016年

トヨタラクティス
トヨタラクティス

 出来る兄を持つ弟の悲哀、とでも言おうか。そんな感情がよぎるのが、ラクティスだ。

 愛らしいスタイルと実用の高さで大ヒットとなったファンカーゴの後続車である。

 サイズもスタイルも近いため、意識していない人もいるかもしれないが、実はラクティスは2世代が存在する。ファンカーゴからバトンを受けた2005年登場の初代と2010年にフルモデルチェンジし、2016年まで生産された2代目だ。

 どちらもヴィッツベースで、サイズを超えた高い機能性を誇ったが、ホンダフィットに加え、日産ノートという強敵が誕生し、次第に存在感を薄めてしまった。

 2代目は、スバルに「トレジア」としてOEM供給されているが、単なるOEMではなく、実はスバルとの共同開発車で、スバル色もしっかり反映されるなど、大げさに言えば、今の86/BRZのような関係であった。

 2代目ラクティスは、福祉車両の一部仕様で形式認定を受けたことから、特装車ならではの登録や車検の手間は省くことを実現。ニーズの高まった車いす仕様車としてニーズを獲得し、働くクルマとしても活躍してくれた。

 実質的な後継車として「ルーミー/タンク」(ダイハツからのOEM供給車)が用意されたが、ユニークでキュートなイメージまでは引き継がれていない。

■トヨタラッシュ/ダイハツビーゴ 2006〜2016年

ダイハツラッシュ
トヨタラッシュ

 地味ながら、生活SUVとして復活の声が高いのが、ラッシュ/ビーゴだ。サイズは全長3995×全幅1695×全高1690mmとコンパクト。

 一見「なんちゃってSUV」に見えるが、実はかなり本格派。ビルトインラダーフレームのシャシー、FRベースのセンターデフロック付きフルタイム4WD、悪路走破性を考慮した前後アングルと最低地上高200mm(4WD車)、5速MT(4WD車)、LSD(4WD車)の設定など、ダイハツの小型4WD車開発の歴史が生んだ真面目なオフローダーの一面も持っていた。

 ライバルといえるジムニーシエラはあくまで軽自動車がベースだが、こちらは専用ボディの普通車でエンジンも1.5Lを搭載。小さくとも十分なパワーと快適な居住スペースも確保していたのも魅力だった。

 2006年の発売から10年のロングライフを全うし、残念ながら国内からダイハツのタフな乗用四駆は消滅した。

 しかし、その魂は、海外戦略車である3代目テリオスに受け継がれ、今後も新興国で活躍していく。いや、このプラットフォームがあるなら、SUV人気の今、日本復活も有りだと思うのだが。

 一説によれば新型車の開発は進んでいるという。復活を期待したい。

■日産ラティオ 2012〜2016年

日産ラティオ
日産ラティオ

 サニーの後を埋めるべく、上品さを備えたコンパクトカー、ティーダのセダン版として生まれたティーダラティオは覚えていたが、セダンのみとなったラティオの存在は、正直、この原稿に手を付けるまですっかり忘れていた。

 思い出したのは発表時のことで、第一印象は「地味なビジネスカー」だったことも告白したい。

 よく言えばコンサバなクルマなのだが、その背景には、現行型マーチ同様に、新興国を含めたエントリーセダンの役割を担ったこともある。

 名前と仕様は違えど、アジアを始め、インド、ブラジル、アメリカなど幅広い地域で展開される、まさに日産の顔のひとつ。残念ながら、日本では消滅となったが、他国では現役バリバリなのだ。

 ベーシックセダンとしては作り込まれており、一つ上のクラス並みの車内空間とゴルフバック4つを収納の出来るトランクを確保していた。キャラは薄かったものの、実に真面目なクルマだった。

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