2050年のカーボンニュートラルに向け、電気自動車や水素をエネルギー源に使う燃料電池車へのシフトが話題となっているが、それでも当面はエンジンを使ったクルマが使い続けれるのに加え、2020年12月あたりからガソリン価格がじわじわと上がっていることもあり、燃費は依然として重要な性能である。
そのため自動車メディアでは燃費を計測することも多いが、その際によく寄せられるのが「車載の燃費計を使っての計測は参考にならないのでは?」という疑問だ。
そんな疑問に答えるべく、当記事ではここ10年程度でほとんどのクルマに装備されるようになった燃費計の精度を考察してみた。
文/永田恵一
写真/編集部
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■車載の燃費計が燃費を計測する仕組みとは?
そもそも燃費は走行距離 ÷ 使った燃料の量(満タン法なら給油量)である。
この計算方法は車載の燃費計でもそう変わらず、走行距離は燃費計と連動したトリップメーターか車速センサーからの情報、使った燃料の量はインジェクター(コンピュータ制御の燃料噴射装置)が噴いた燃料の量から計算される。
■さまざまな走行シーンがある中で表示される燃費は正確な数値なのか?
結論から書くと「車載の燃費計は十分に正確」というのが答えだ。
というのも、燃費計の誤差に対する自動車メーカーの見解は5%前後といったところだ。そのため、厳密に計測すれば満タン法のほうが正確な燃費が計測できるというのは確かだ。
しかし、満タン法で厳密に燃費を計測するというのは非常に難しく、具体的なポイントを挙げると
【1】誤差を減らすため、極力長い距離を走る(満タンから燃料残量警告灯が点くくらいまで走るのが理想)。
【2】燃料の入る量は給油機械のある位置の傾斜によって意外に大きな差があるので、同じガソリンスタンドで決めた給油機械を使う。
【3】その上で満タンとするポイントを決めるわけだが、これは以前だと給油の際のオートストップが作動してからも燃料をチョロチョロと継ぎ足して給油口から溢れる寸前を満タンとしたものだが、現在は吹きこぼれ防止のため禁止事項となっている。
またクルマによっては燃料タンクに形状によるエアの抜けの関係で、なかなか満タン状態にならないものもある。さらに最近のクルマでは日産『セレナ』など給油口がキャップレスになっているものも増えており、そういったクルマではオートストップ作動後の継ぎ足し給油は燃料の入り具体が見えないため怖い。
これだけの要素が揃うと【1】と【2】はともかくとして、【3】に関しては行うのが現実的には無理というのが率直なところで、結局のところ満タン法で正確に燃費を計測するのは困難だ。それなら5%前後の誤差があったとしても車載の燃費計のほうが十分正確な燃費計測をできるというのが結論なのである。
実際筆者は自分のクルマも含めいろいろなクルマで燃費を計測しているが、【1】だけ守れば満タン法も車載の燃費計も数値に大きな違いはなく、車載の燃費計の燃費計は十分正確といえる。
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