■ライトチューニングでも驚くほど速くなる
さらに多少のチューニングメニューで200psほど達成できてしまうところがスイフトスポーツの面白さのひとつなのだが、それに耐えるにはやはりMTは必須になる。
そこまでやるとこのクルマは大化けし、例えば筑波サーキットで1分4秒台に突入するくらいの実力までアップ。なかには3秒台に突入してしまうなんていう異次元のクルマも、実はライトチューニングだったというオチまであるほど。
そもそもノーマルでは1分11秒あたりがやっとなのだが、そこから一気に別次元の世界へと突っ込めるところがスイフトスポーツの面白さといっていい。
「クラス上をカモる」という、昔ながらのホットハッチの世界観は相変わらず。そんなチューニングモデルに何度か試乗したことがあるが、「これがスイフトスポーツなのか?」といつも驚く。タイトターンからの脱出はとにかく鋭く、ハイスピードまで一気に加速を重ねて行くのだ。
興味深いのはやはり低速トルクで、筑波だと2速を使用せずに走ったほうがタイムを出しやすい。いままでのようにエンジンをガンガン回してタイムを削ろうと言うタイプではないところがイマドキな感覚だ。
こんな同クラス以上の速さを手にすることが可能となったのは、シャシー性能が高かったということもあるだろう。
■シャシー性能はノーマルのままで極めて高い
前述したようにスイフトスポーツは今のモデルから3ナンバー化に踏み切った。ベース車に対してフェンダー、ドアパネル、そしてリアクォーターパネルまで変更し、トレッドは先代に対して30ミリも拡大している。
おかげで安定性はすこぶる高くなり、高速コーナーでも躊躇なく行けるクルマにノーマルの時点で仕上がっていた。
もちろんそれだけでなく、ノーマル車に対してスポット打点を拡大。アンダーカバーをボディ下部に備え、高速走行時の安定性や燃費に対する考えも改められているのだ。
発表当時、開発担当者は「1トンを切る車体で200km/hオーバーの世界を成立させるためには、色々とやらなきゃいけなかったんですよ」と語っていたことを思い出す。
日本だけじゃなく海外でも戦おうという本気が伝わってくる作りが随所に散りばめられているのだ。だからこそ、エンジンチューニングしてハイグリップタイヤを装着してもへこたれないのだろう。
■もっと注目されてもいい存在のはず
ここまで来るとライバルはもはや海外にしかいないと本気で思う。価格を抜きにして考えればアバルト595あたりだが、あちらは新車価格でさらに100万円は上。そのチューニングモデルとなればもっとだ。
スイフトスポーツならその差100万円をチューニングに突っ込んでしまえば、速さでいえば国産ハイパワースポーツが視野に入ってくるくらい。下剋上だって夢じゃない。これを面白いと言わずして何を面白いというのだろう? もはやこれはニッポンの宝といっていい。
登場からもうすぐ4年という段階で、ちょっと注目されなくなってきてしまったが、このクラスを考えている方々は今一度、スイフトスポーツに注目してみてはいかがだろうか?
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