大型車はハイブリッドが「有利」
例えば、クラウン ロイヤルサルーンで、ハイブリッドと2.5Lエンジン車を比べると、4~5万kmでハイブリッドとノーマルエンジン車の価格差が埋まる。
車両価格の差額は50万円を超えて、装備の違いを補正しても約48万円の違いが残るが、まずエコカー減税で10万円以上の差が付くからだ。さらに燃料代の差額も大きい。
ハイブリッドにとって好条件が多く、比較的短い距離で取り戻すことが可能になった。
逆にボディやエンジンの排気量が小さく、価格の安い車種は、ハイブリッドの価格差を取り戻すのが難しい。
ノーマルエンジンとハイブリッドの価格差は、少なくとも20万円前後に達する。その割にコンパクトな車種では、ノーマルエンジンも燃費を重視して開発され、燃料代の差が開きにくいからだ。
いい換えればコンパクトな車種では、1.2~1.5Lのノーマルエンジン搭載車のほうが、ハイブリッドよりも経済的な場合が多い。
小型車ではガソリン車の経済性目立つ
例えばホンダ フィットでは、「ハイブリッド・L ホンダセンシング」と、1.3Lエンジンを搭載した「13G・Lホンダセンシング」で、価格に42万5520円の差がある。
ただし、ハイブリッドにはナビ装着用スペシャルパッケージなどが装着されてシート生地も上級化する。
この金額が約12万円に換算されるから、ハイブリッドと1.3Lエンジンの差額は約30万円だ。
エコカー減税では1.3Lも減税を受けられるが、取得税と同重量税を加えると約5万円の差が生じる。従って最終的な差額は25万円に収まる。
実用燃費がJC08モードの85%、ガソリン価格140円/1Lで計算すると、1km当たりのガソリン価格はハイブリッドが4.8円、1.3Lのノーマルエンジンは6.7円だ。
1km当たりの節約は1.9円で、先に挙げた25万円の最終差額を取り戻せるのは13.2万kmを走った頃になる。クラウンの4~5万kmに比べると、約3倍の距離を要する。
小型ミニバンのシエンタでは、ハイブリッドの価格が1.5Lのノーマルエンジンに比べて、装備差を補正すると約35万円高い。この金額からエコカー減税の差額となる5万6400円を差し引くと約29万4000円が残る。
一方、1km当たりのガソリン価格は前述の計算でハイブリッドが1km当たり6.1円、ノーマルエンジンは8.1円で2円の差が生じる。29万4000円を取り戻せるのは14.7万kmを走った頃だ。
3種のパワーユニット持つスイフトの買い得車は?
フィットやシエンタに比べて、変則的なのがスイフトだ。NAエンジン、マイルドハイブリッド、フルハイブリッドという3種類のパワートレーンを用意する。
まず、価格はマイルドハイブリッド車が、NAエンジン車に比べて約10万円高く、エコカー減税による税金は約1万円安い。最終的な差額は9万円だ。
1km当たりのガソリン代差額は0.9円で、9万円の最終差額は約10万kmで取り戻せる。
次はマイルドハイブリッドとフルハイブリッドを比べる。フルハイブリッドはマイルドに比べて実質的に約23万円高い。
税金はフルハイブリッドが2万3000円安く、差額は20万7000円に縮まる。1km当たりのガソリン代差額は0.9円。20万7000円を節約するには23万kmを走らねばならない。
つまり、スイフトではフルハイブリッドは割高だ。購入して10万km以上を走るつもりならマイルドハイブリッド、1年間の走行距離が1万km以下のユーザーは取り戻すまでに10年以上を要するから、NAエンジン車の方がトクになるだろう。
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この損得勘定では、運転感覚の違いは考慮していない。
フィットの場合であれば、ハイブリッドの動力性能は、1.3Lのノーマルエンジンよりも明らかに勝っている。
さらにいえば、冒頭でも述べたように、環境/燃費性能はトクをするために向上させるのではない。化石燃料を節約したり、二酸化炭素を含めた排出ガスを抑制することが目的だ。
従ってここで述べたことは「損得勘定では、こういう選び方も成り立ちます」という考察のひとつに過ぎない。損得勘定を認識された上で、無理のない範囲で、なるべく環境に優しい安全な車を選んでいただきたい。
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