自家発電してない家庭はどうなの? EVはガソリン車よりお得? それとも割高?


 EVなら、ガソリン車に比べて、家に帰ってきて深夜電力で充電すればお得である、という触れ込みを聞いたことはあるだろうか? クルマを維持するうえで、ランニングコストはできるだけ安いほうが嬉しいというのは、多くの人が思うところだろう。

 しかし、電気代は意外に高く、オール電化の契約や、太陽光による自家発電などをしていないと、実はそんなにお得ではなく、むしろ割高になる……ということはないのだろうか? これから否が応でもやってくる電動化社会において、やっぱり気になるのは家庭にかかわるお金の話だ。

 そこで今回は、BMW『i3』、ホンダ『ホンダe』に乗るEV愛好家の片岡英明氏が、EVは本当にお得なのか否かについて考察していく。

文/片岡英明
写真/Adobe Stock(scharfsinn86©@Adobe Stock)、編集部

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■EVはガソリン車よりホントにお得?

 ICEと呼ばれている内燃機関は、エンジンの改良と技術革新によって燃費を向上させ、地球温暖化の元凶とされるCO2(二酸化炭素)削減を図ってきた。

急速に進む温暖化を止めるためにゼロエミッションが叫ばれている。化石燃料を使う限りそれは達成できない(beeboys@Adobe Stock)

 だが、熱効率を上げることは簡単そうで難しい。とくにガソリンエンジンとなればなおさらだ。そこで多くの自動車メーカーが電動化へと舵を切っていったのである。その代表がエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッド車だ。これを進化させたプラグイン・ハイブリッド(PHVまたはPHEV)も登場している。

 エンジンに見切りをつけ、モーターを動力とするのが電気自動車と呼ばれているEVだ。走行中にCO2などの有害物質を出さないゼロエミッションビークルの代表で、世界各国が内燃機関の締め出しに乗り出したこともあり、脚光を浴びている。当然、買った後の環境性能、これはガソリン車だけでなくPHEVよりずっと上だ。

 また、一気にパワーとトルクが湧き上がる独特のパワーフィーリングも魅力となっている。シームレスに、そして静かなまま強烈な加速を味わえる未来感覚の走りは、EVならではの魅力と言えるだろう。ただし、充電にかかる時間が長く、走り方やコースの選び方によって航続距離が大きく変わってしまう。これがガソリン車などの内燃機関を知っている人にとってはもどかしい弱点だ。

 ガソリン車などの内燃機関とEV、オーナーになってからのお得感はどちらが上なのだろう。

 アメリカのコンシューマー・レポートは、EVのオーナーが、クルマの寿命が尽きるまでのメンテナンスと修理にかける費用は、平均でガソリン車の半分である、と述べている。EVは構造だけを見るとシンプルだ。オイルや水などもいらないし、消耗品だけの交換だから、ガソリン車ほどメンテナンスを必要としない、と力説している。

 一般的なクルマの寿命を20万マイル(約32万km)とすると、5万マイル走った時点で、修理とメンテナンス費用はガソリン車よりはるかに少なくなっているのだ。我が家にあるEVは7万km走っているが、ドイツ車であるのにメンテナンス費用はガソリン車よりも安い。電気やガソリンなどのエネルギーコスト、メンテナンスにかかるコスト、保険料、税金など、トータルで考えると維持費が抑えられているのである。

 積極的にEV化を進めているフランスのプジョーも、内燃機関のクルマに比べ、エネルギーコストは平均で約40%、メンテナンスコストは最大30%抑えられ、使い方やライフスタイルによっては内燃機関のクルマよりも経済的だ、と述べているのだ。

 興味深いのは、コンシューマー・レポートではプラグインハイブリッド車も、かかるコストがそれほど違っていない、とレポートしていることである。EVまで一気に行くのはためらわれる、という人はPHEVを選ぶという手もあるよ、と言っているのだ。

 製造後、販売後のCO2排出量だけでなく、燃料の採掘や精製、製造、物流、使用、廃棄、リサイクルに至る、クルマのライフサイクル全体における環境負荷を、定量的に把握して影響を評価するライフサイクルアセスメントの観点から見ると、PHEVは魅力的である。

 EVの購入を躊躇するのは、車両価格が高いことだ。それなりに安全装備や快適装備が充実した日産『リーフ』やホンダ『ホンダe』などのEVを手に入れようとすると、車両価格は500万円前後になる。輸入車ともなれば1000万円を超すEVも珍しくはない。ノルウェーなどの北欧のように補助金がたんまり出れば買ってみよう、と思うだろうが、日本の政府はケチで、補助金を減らしてしまった。

■EV 2台持ちのホンネ!?

 また、充電するにもお金がかかる。EVが少ないときは使い放題だった。が、その特典はなくなっている。主に充電施設でChaDeMo急速充電する人は、NCS(日本充電サービス)などの充電カードが必要だ。これは月に4000円程度の会費を取られるし、充電するときも1分ごとに課金される。30分の充電で500円弱ほど支払うことになるが、FCVの水素充填の料金と比べると割安だ。

ホンダeの充電時間は、家庭200Vでの普通充電の場合、12時間で満充電にできる。充電スポットでの急速充電では30分で80%充電する(rockstarpictures@Adobe Stock)

 一軒家やオール電化をうたっているマンションなどでは単相200Vの普通充電も行うことができる。契約方法や地域によって充電コストは変わってくるが、時間帯別の夜間電力を使えば1kWあたり20円程度だ。乗り方で電費も変わってくるが、おおよそガソリン代の半分くらいで済む計算になる。もちろん、満充電までの時間は長い。

 最近はショッピングモールなどに設置されている無料の充電施設を探して充電している人も少なくない。この手を使えば電気代をぐっと下げることが可能だろう。ただし、競争が激しいから、充電待ちを覚悟する必要がある。充電時間も制限されてしまう。

 年間に走る距離によってトータルコストは変わってくるが、距離を走る人にとってはEVは魅力的だと感じられるはずだ。買うときは高いが、維持費は安いと思う。

片岡英明さんの『ホンダe』。RR(モーターをリアに搭載、後輪駆動)レイアウトで理想的な重量配分とトラクションを確保、4輪独立懸架サスペンションを採用している

 片岡英明さんのホンダe だが、お得感よりも、乗る人のライフスタイルに合っているかのほうが重要だろう。気持ちいい加速や卓越した静粛性に惚れこんだら、もう内燃機関のクルマには乗れなくなる。だが、エンジン音が耳に心地よいとか、充電するのが面倒だ、という人はEVじゃないほうがいい。

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