■ピックアップトラックからSUVへ
時代が1990年代に入ると、タイではピックアップトラックの需要が高まっていく。小規模事業者にとっての商業利用と、事業経営者や従業員の日常の足として兼用できることが人気の理由だった。
さらに、ピックアップトラックをベースとしたSUVが増えていく。
これは、90年代にアメリカで生まれた、GM、フォード、クライスラー(当時)で顕著となったトレンドがベースだ。アメリカの場合、当時はV8エンジン搭載が主流のフルサイズと、ワンランクこぶりとなるV6や直4エンジン搭載のミッドサイズの2系統があった。
そのうちのミッドサイズをそのまま採用するのではなく、東南アジア向けのミッドサイズ・ピックアップトラックのSUV化を進め、それを東南アジア各国、中南米、アフリカ、中東などに輸出するという流れを、三菱やトヨタが採用するようになった。
こうしたビジネスモデルは、2000年代に入り、経済新興国BRICs(ブリックス「ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ」)という新たな成長経済圏が生まれるなかで段階的に強化され、結果的にMMThが120カ国以上への輸出拠点となった。
つまり、三菱は東南アジアにとどまらず、日本人にとってはあまり馴染みのない国々でブランド力が高いと言える。
また、2020年に発表された、ルノー・日産・三菱アライアンスの事業戦略構造では、各社が得意とする技術と商圏(市場)で、「リーダーとフォロワー」という考え方を採用するとした。
三菱については、技術ではPHEV、また商圏では東南アジアがリーダーとなり、ルノーと日産がフォロワーとなる構図だ。そのため、今後はますます、三菱の東南アジアでの事業活動が活発化し、東南アジアでの三菱人気は確固たるものになっていくだろう。
そうなると近い将来、エクスパンダークロスのような人気モデルが東南アジアから日本に輸出されるようになるのかもしれない。
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