■水素ステーションがあってもFCVがないは困る
いくら水素ステーションを整備しても魅力的なFCVが誕生しなければ、「絵に描いた餅」。現在販売されているFCVの乗用車はトヨタのMIRAIとリース販売のホンダ・クラリティだけ。
2018年1月末のFCVの保有台数はわずかに2400台と、これでは2年後の2020年に4万台という数字はとてもムリではないだろか。
トヨタは2020年にMIRAIの次期モデルにあたるFCVを投入、日産はダイムラーやフォードと燃料電池車を共同開発、ホンダも2020年頃にはGMと共同開発した新型FCVを投入するとしているが、商品力という点でどうなのか疑問が残る。
FCスタックなどの技術革新が進み、政府からの補助金によって300万円くらいで手に入るようになれば話は別だが。
可能性があるのはバス、トラックで700〜800kmの航続距離があれば、高速道路を使っての路線運行が可能だ。現在ガソリンスタンドに水素ステーションを建設できるようにする法改正も検討されており、そうなれば物流を担うことが可能だ。
またFCバスは東京や名古屋で路線バスとして走行しており、ステーションの整備で長距離の路線も担うことは可能だ。
参考までに経済産業省が2016年3月に公表したEV&PHV普及目標によれば2020年の国内保有台数は最大100万台。いっぽう2017年3月末時点で公共の急速充電器は7108基、普通と合わせた充電器の総数は2万8260基にも上る。
リーフが発売になった2010年に比べると20倍になった計算だが、EVとPHVの2017年3月末の保有台数は16万台あまりに過ぎない。EVやPHVのラインアップがまだまだ少なく、ハイブリッド車のような競争が生まれていないことが大きな原因だと思う。
CO2削減のためにEVやPHVの普及は重要なことだがステーションの整備がそのまま普及につながるかといえばそうではない。
水素ステーションの整備はけっこうだが、トラックやバスを含め魅力的なFCVがたくさん生まれ、ユーザーが悩むようでなければ、政府がいうような普及は難しいと思う。
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