新型スープラがBMWとの共作!! これってありか、なしか?

新型スープラがBMWとの共作!! これってありか、なしか?

 今年のジュネーブショーで、ついに姿を現わした新型トヨタ・スープラ。国内での発売開始は年末になりそうだが、かつてのスープラを見て育ってきた世代のクルマファンにとっては待望のクルマがついに蘇ったか、と喜びもひとしおだろう。

 しか〜し、今度のスープラ、純粋なトヨタのスポーツカーかといわれれば残念ながら違う。エンジンも、プラットフォームもBMWが担当する。材料場BMWが用意して、味付けはトヨタがやるといった感じだ。

 ドイツのBMWの血が混ざっているハーフだ。Z4との共有は、果たしてありか、なしか?

文:鈴木直也、国沢光宏、渡辺敏史/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年5月10日号


■兄弟車のあり方を考えるべし

【トヨタが独自でスープラを開発できていただろうか?】鈴木直也

 スープラがBMW Z4の姉妹車になってしまうことに一抹の寂しさを覚えるのは無理もない。ニッポン人なら「トヨタほどの大企業なら独自スポーツカーくらい造ってほしい」と思うのが自然な感情だ。

 だが、冷静に考えてみてほしい。「トヨタ独自でスープラを開発できたか?」といえば、主に採算性の問題からキビシイといわざるを得ないし、仮に可能だったとしてもBMW Z4を凌ぐクルマとなるかは未知数。

トヨタは最初にレーシングバージョンを出品した。Z4はまずロードカーを出品したが狙いはあるのか
トヨタは最初にレーシングバージョンを出品した。Z4はまずロードカーを出品したが狙いはあるのか

 絵に描いた餅よりも、実際に手に入るBMW製スープラ。これはむしろ喜ぶべきことなんじゃないでしょうか。

 いっぽう、4気筒エンジンをベンツから供給してもらっているスカイラインも、つまるところ「採算性」の問題。自社製エンジンに最適なものがないというお家の事情はちと情けない。

 しかし将来登場する新開発エンジンまでの「つなぎ」と考えれば致し方ない。こちらも、絵に描いた餅より使えるエンジン、というのが実情ですな。

【これまでも兄弟車はいろいろあった】国沢光宏

 いいか悪いか決めるのはユーザーである。イヤだと思えば売れないし、問題ないなら売れます。

 かつてロールスロイスとベントレーだって同じだった。ポルシェカイエンとVWトゥアレグのフロアは共通ながら、皆さんあまり気にしていない。アウディとVWとポルシェ、生い立ちからして兄弟みたいなもの。

 はたまたランボルギーニとアウディR8の中身はほぼ同じである。BMWのエンジン積んだスープラや、ベンツのエンジン積むスカイラインに魅力があれば売れることだろう。

 後者が上手くいってないのは、クルマもエンジンも「欲しい」と感じさせる内容じゃなかったからに他ならない。BMWが開発したスープラ、いいクルマなら86と同じく人気車になると考える。

 売れなければクルマが失敗です。

【すべてを自社完結は実は非効率的】渡辺敏史

 スープラにとって直6が必須ということであれば、環境技術で提携しているBMWにお願いして、ついでに生産も外国でやっちゃえばいいんじゃね?

 と、日本のメーカーから漂うそんな気配に不穏な気持ちになってしまう。よくわかります。我々の前提としては自社開発のソリューションですべてのモデルが構成されればそれが一番尊いわけです。

 ですが、今や世界各地に展開するモデル数が多いうえ、各々のカテゴリーで求められるノウハウも先鋭化してます。

トヨタの統制された生産ラインや、調達システムをもってしてもすべて自社完結は非効率的なのだ
トヨタの統制された生産ラインや、調達システムをもってしてもすべて自社完結は非効率的なのだ

 たとえトヨタ規模であってもすべてを自社完結させることは人的にも金策的にも厳しく生産設備的に非効率……と、相当難儀なことになっています。

 これはもう自動車のみの課題ではない。製造業が規模を維持し成長を望むなら経済的原理として純潔主義は成立しなくなってきているんです。残念な話ですが……。

【編集部の結論】

 クルマ以外でも世界的な提携や統廃合が進むビジネスの世界。日本人の心情としては、スープラなんだから全部国内で作ってよ、と思ってしまうが、3者のご意見はいずれも肯定的。

 やはり1台のクルマを作るには、巨額の資金が必要になるので、そこを分散させるためには、今回のスープラのやり方も、アリ! とするのが正解のようだ。しかも生産台数も多くないはずだしね。

 でもちょっと寂しいな〜。

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