これが「トヨタ流」自動運転最前線 Advanced Drive搭載MIRAI試乗レポート【自律自動運転の未来 第9回】

■人が「目視で確認した」という動作を機械が理解する時間が必要

 冒頭、「Advanced Driveはレベル2技術からレベル3相当へアップデートされる」と述べました。このアップデートには制御ソフトウェアとして、こうした「目視時間」の微調整も含まれます。事実、トヨタの技術者は、「オーナーからの声が多ければ、より短時間で目視としてシステムが認識できるようアップデートを行うことができる」といいます。

 Advanced Driveでは、「目視」がシステムとの意思疎通手段に加わりました。「この実装には、長い時間をかけてトヨタ社内/外で研究を重ねました」と前述の川崎氏は声を大にします。

 かねてより筆者は、人がクルマを、そしてクルマが人を理解することが安全な運転環境の一助になると考えてきました。Advanced Driveで我々ドライバーに対して新たに示されたHMI(ヒューマンマシンインターフェースorヒューマンマシンインタラクション/人と機械の接点)、すなわち「目視する/目視を確認した」という人と機械の共通言語はこの先、自動化技術を普及させるにあたって双方にとって非常に有益です。

 しかし、これまで「見護る側」にあったドライバーモニターカメラが、人(ドライバー)のふるまいを正しく理解するには時間が必要です。我々が新しいシステムを受け入れるのに時間がかかるのと同じく、システムも人に寄り添うには時間が必要なのです。

 Advanced Driveが準備を進めるアップデートの内容は、そうした人のふるまいを一層、正確に理解する、言い換えれば「阿吽の呼吸」を見据えたものといえます。

今回新設定されたMIRAIの新グレード「Z“Advanced Drive”」は8,450,000円。新技術が搭載されていない同仕様車は7,900,000円なので、550,000円高となる。トヨタによると、この技術は随時アップデートしていくとのこと
今回新設定されたMIRAIの新グレード「Z“Advanced Drive”」は8,450,000円。新技術が搭載されていない同仕様車は7,900,000円なので、550,000円高となる。トヨタによると、この技術は随時アップデートしていくとのこと

 さらに、Advanced Driveにはこうした制御ソフトウェアのアップデートのほかに、センサー自体を追加するハードウェアのアップデートも控えています。

 現状、Advanced Drive搭載車には、左右フェンダー部分に黒い樹脂カバーで覆われた部分があり、車体後部中央にも長方形の型取りが残ります。じつはこの3カ所に、将来のハードウェアアップデートとしてLiDARが搭載されるのです。

■「レベル3」へのアップデートはいつ頃?

 すでにAdvanced Driveでは、電源システムの冗長性が図られており、その意味でも当初からレベル3技術を意識したシステム作りは明確です。その冗長性はメインとサブ、2つの電源システムを用い、グループ1とグループ2に分類されています。

 グループ1では「演算装置1/電動パワーステアリング/HDマップ情報/認識センサー1」、グループ2では「演算装置2/ブレーキシステム/認識センサー2」をそれぞれ担当させています。さらにグループ1の電動パワーステアリングでは、演算装置と駆動回路を2つ搭載した上で、パワステモーターの巻き線を二重にしてそれぞれに確認用のセンサーを搭載しています。

 こうしたことから、将来的なハードとソフトのアップデートによって、たとえば自動化レベルの向上や人に寄り添う制御システムの構築が、ユーザーの手に渡った後も可能です。

 このソフト&ハードのアップデートはAdvanced Drive搭載車を購入したユーザーに無償で提供されます。そして早ければ、初のアップデートは半年以内に行われるであろうと筆者は予想しています。

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