これが「トヨタ流」自動運転最前線 Advanced Drive搭載MIRAI試乗レポート【自律自動運転の未来 第9回】

■トヨタ流自動運転技術の真骨頂は「人の目視」??

 Advanced Driveでは、「①ハンズフリー走行」、「②追い越し」、「③ドライバーのウインカー操作による車線変更」、「④システムによる分岐」が行えます。

ハンドル奥の12.3インチTFTカラーメーターディスプレイが(グレー基調から)上記のように「ブルー基調」になると、ハンズフリー可能の合図。この状態ならハンドルから手を離してもOK
ハンドル奥の12.3インチTFTカラーメーターディスプレイが(グレー基調から)上記のように「ブルー基調」になると、ハンズフリー可能の合図。この状態ならハンドルから手を離してもOK

 ここまでの機能であれば、同じくレベル2技術である日産スカイラインの「ProPILOT2.0」や、スバル・レヴォーグの「アイサイトX」と同じですが、Advanced Driveでは、ドライバーとシステムの意思疎通方法が大きくことなります。

「ドライバーの目視による安全確認を求める」。これが「Mobility Teammate Concept」 に端を発するAdvanced Driveの真骨頂です。

 Mobility Teammate Concept とは「人とクルマが気持ちを通わせながらお互いを高め合い、仲間のように共に走る」とするトヨタの高度運転支援技術に対するスローガンです。

 いわば人とクルマが協調する世界は、将来の自動運転技術へと継承される考え方として、こうして実車にも活かされています。筆者はこれを「人と機械の協調運転」と名付けています。

 しかしながら、ステアリングから手を離すことはあくまでも副次的な効果であり、Advanced Driveが目指した目的ではありません。手が離せるくらい精度の高いステアリング制御をシステムが行い、システムに足らない部分を人が補うことで、安全な運転環境を少しでも長く継続する、これが目的です。

 今回、首都高速道路を走りましたが、条件が整えば規制速度プラス15km/hの世界で行われるハンズフリー走行も、安全な運転環境を作り出す、その延長線なのです。

■運転中の「2秒程度」は長すぎるのでは…?

 では具体的に、Advanced Driveではどんな協調運転が行われるのでしょうか。

 前述の「②追い越し」では、状況に応じてシステムから「前のクルマを追い越しするか」と提案されます。これを承認するにはステアリングを握り、さらに車線変更する側へ目視による安全確認が求められます。

 ステアリングコラムの上には近赤外線LEDを用いた二眼の「ドライバーモニターカメラ」が設置され、このカメラがドライバーの視線と顔向きを検知し、その情報をもとに目視を行ったかを判断します。

 トヨタでは、国内に初投入した初代レクサスLS(2006年)からドライバーモニターカメラを実装し、ドライバーが正面を向いていない、もしくは眼を閉じている状況で前走車への急接近など危険が近づいた場合には、「衝突被害軽減ブレーキ」の警報ブザーを最大で1秒早出しするなど協調運転を早期に導入していました。

レクサスLSにも「Advanced Drive」搭載グレードが設定された
レクサスLSにも「Advanced Drive」搭載グレードが設定された

 同様に、③ドライバーのウインカー操作による車線変更と、④システムによる分岐にも、ステアリングを握ることと、車線変更する側への目視による安全確認が求められ、これらが行われない、もしくはシステムが十分でないと判断した場合には、②~④の運転支援は中断されます。

 しかし筆者には、ドライバーが目視を行ったとシステムが認識するまでの時間が1秒程度、長いと思えることが何度かありました。 

 人により程度の差はありますが、一般的な「目視」は視線移動が中心です。その上で、移動したい車線側に顔をサッと向け、必要に応じてそれを繰返し安全を確認します。対してAdvanced Driveのシステムでは、しっかりと2秒以上、顔と視線の両方を移動したい側に向け続けている必要があります。

 ここでの2秒はやはり長く、筆者はちょっとした不安を覚えました。試しに1秒ごとの目視を繰返してみましたが、システムは確認不足と判断したのか、正しい目視と認識してくれません。

次ページは : ■人が「目視で確認した」という動作を機械が理解する時間が必要

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