世界初、圧縮着火を実現したガソリンエンジン「スカイアクティブX」を搭載したマツダ3が登場したのが2019年12月。
それから1年と経たない2020年11月、「スカイアクティブX」は異例の早期アップデートが図られた。
また、既存モデルオーナーを対象とした制御プログラムなどの最新化サービス「マツダスピリットアップグレード」を行うことも発表した。第1弾はマツダ3、CX-30の初期型モデル、e-SKYACTIV-X搭載車を対象に、2021年2月19日よりサービスを開始。プログラムアップデートにかかる料金はなんと無料だ。
SKYACTIV-X最新アップデート!! マツダ3/CX-30の何が変わる!?
このスカイアクティブXのアップデートはいかなるものだったのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部
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■欧州では高い人気と評価を受けているが、日本での人気は?
マツダ3スカイアクティブXのアップデートを受けて、見違えるようにスポーティで扱いやすい特性を得たことは、すでに様々なレポートによってご存知だろう。
発進時などアイドリングからのピックアップも素直で反応が良くなり、全域で気持ちの良い、俊敏で伸びやかな加速が味わえるクルマに仕上がった。
その一方で、スカイアクティブXはまだまだ発展途上だな、と思われた方もいるのではないだろうか。
それは燃費性能だろう。SPCCIという超高度な燃焼技術でスーパーリーンバーンを実現しているという触れ込みの割には、燃費がそれほど高くないからだろう。ハイブリッド車並みの燃費性能を期待している人にとっては、物足りない数字と言われても仕方ない。
SPCCIの燃焼メカニズムから想像すれば、少ない燃料で燃焼できるスカイアクティブXの燃費は、スカイアクティブGよりも、はるかに向上しても良さそうなものである。
しかしWLTCモードでの燃費は約1割の改善にとどまっている。スーパーリーンバーンを実現しているといっても、空気をたくさん詰め込んで高圧にした状態で燃焼しているため、空燃比で見ればλ(ラムダ)=2以上の数値でも、2LのNAより空気を多く入れているぶんだけ燃料も多くなっている。
ということはスカイアクティブGの半分以下の燃料噴射量にはならないことになる。
ストイキ(理論空燃比)でのSPCCIでも、負荷が少ない状況ではEGR(排気ガス再循環)を大量導入して、新気を減らしているのでシリンダー容積一杯の新気に対して燃料を噴射している訳ではないから、リーンバーンとの差はそれほど極端ではない。
スカイアクティブGでもEGRを使ったり、アトキンソンサイクル(吸気バルブを遅く閉じて新気を減らす)を利用して軽負荷時の燃費を向上させているから、大きな差が出ないのだ。
しかし現時点でもまだ疑問が残る。それは駆動系の仕様だ。なぜスカイアクティブG 2.0よりファイナル(ファイナルギアレシオ=デフギアで最後に減速する値)が高いのだろうか。トルクもあって、燃費を追求するならファイナルを下げて、高速走行時のエンジン回転を下げるべきなのではないか、と思うからだ。
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