トヨタ、日産らが発売し地味に消えた4ドアセダン車たち 6選 

世界中を見回してみると、売れ筋のトップになっているのは4ドアセダンだ。クロスオーバーSUVが販売を伸ばしてきたが、今も世界の主役は、独立したトランクを備えた正統派の4ドアセダンなのである。

しかしこのサルーン市場の流れ、日本だけが世界と違っている。

21世紀になってもクラウンとカローラは元気がいい。が、トヨタ以外のメーカーのサルーンは絶滅危惧種となっているのだ。最近は押しの強いスタイリングとハイブリッド車ならではのエコ性能がうけて、かろうじてカムリが好調である。しかし、これもトヨタの作品だ。

日本のサルーン市場がやせ細ってしまったのは、1990年代にミニバンが台頭し、広さと押しの強さが正義になってしまったからである。ミニバンやクロスオーバーSUVは、車格が分かりにくい。これに対しサルーンは序列が明快だ。カローラはマークXやクラウンより風上に立てない。が、ノアやC-HRなら胸を張って乗れる。また、コスト削減の余波で、昔のセダンと比べると質感が低い。

さらにいうと、購入層が高齢化していることもあり、デザインにも若さがなくなった。これらもサルーン離れが進んでいる理由のひとつになっている。

しかしかつて多くのメーカーが、「これぞ次世代の主役に」と、独自の価値観や世界観をもった4ドアサルーンを市場に送り出してきた。

ここではそんな、あえなく時代の波に揉まれて彼方へ消えていった各メーカーの4ドアセダンをいくつか、万感の思いを込めて紹介したい。
文:片岡英明


■トヨタブレビス 2001〜2007年

トヨタ・ブレビス
トヨタ・ブレビス

平凡なセダンに飽きたユーザーを取り戻すために、トヨタはクラウンのメカニカルコンポーネンツを使った小さな高級車を企画し、開発した。

その第1弾が1998年に発売したプログレである。スリーサイズを運転しやすい小型車枠のなかに収め、全長も短く抑えた。クラウンに負けない高級ムードのインテリアも自慢だ。ウッドパネルをおごり、シートの見栄えと座り心地にもこだわっている。

このプログレに続き、もう少し風格のあるプレミアム・ジャストサイズセダンを2001年に投入した。それが全幅を広げ、3ナンバーの普通車枠に踏み込んだブレビスだ。エンジンは直噴方式(D-4)を採用した2.5Lの1JZ-FSE型と3.0Lの2JZ-FSE型直列6気筒DOHCを搭載する。これに5速AT(4WDは4速AT)を組み合わせた。気持ちいいパワーフィールが自慢で、高回転まで気持ちよく回る。4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションもスポーティな味わいだ。クルマを知り尽くしたベテランに愛され、地味な存在だったが、今も乗り続けているファンが少なくない。

■日産プレセア 1990〜2000年

日産・プレセア
日産・プレセア

カリーナEDのヒットに触発され、日産が送り出したミドルクラスの4ドアハードトップがプレセアだ。

6代目のトラッドサニーのプラットフォームを用い、その上に優美なボディを被せた。デビューしたのは、バブル絶頂期の1990年6月である。最大の特徴は、エレガントな内外装のデザインだ。グリルレスの若々しいフロントマスクを採用し、サイドビューもクリーンなシルエットだった。

また、インテリアも凝っていて、昼間は気がつかないが、夜になってライトを点灯するとメーターが鮮やかなブルーに発光するムーディな「マリンブルーメーター」を採用した。

車名の「PRESEA」は宝石の意味だ。そこでグレードにも「Ct.(カラット)」を使っている。女性ユーザーを中心に安定した売れ行きを見せ、スポーティグレードの「ブラックスター」は男性のファンも増やした。

1995年には2代目にバトンを託したが、すでに4ドアハードトップのブームは去っている。すべてがキープコンセプトだったこともあり、初代ほどの人気は得られず、2代で姿を消した。

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