■軽自動車にはさまざまな逆風が吹くことになる
このように、さまざまなモデルがユーザーの支持を得て、今や軽自動車は日本市場全体の4割強を占める主要カテゴリーとなっている。にもかかわらず、なぜ軽自動車の存続の危機が懸念されているのか?
最大の理由は、前述のように軽自動車が日本市場でのガラパゴス車である点だ。
2013年にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の協議で、アメリカが「軽自動車は海外メーカーが日本市場に参入しづらくする非関税障壁」と指摘したのだが、鈴木会長は「こじつけだ」と跳ねのけたことがある。その後、そうした海外からの圧力はなくなった。
直近では、世界市場は2019年が9042万台と過去最高で、2020年はコロナ禍で7797万台まで落ち込んでいる状況だ。そのなかで2019年の軽市場を見ると、世界全体の約2%を占める。
これを小さいと見るか、それとも結構多いと見るかは意見が分かれると思うが、グローバル展開をする一般的なメーカーとしては部品の共通化による生産効率やコスト管理の視点で、さらには日本の将来的な人口減少による自動車市場の減少を加味すれば、これから軽市場に積極的に投資するという考えには至らないだろう。
その見極め時期を自動車メーカー各社は探っている段階だ。
また、ディーラーとしては薄利多売の軽自動車よりも、利幅が多くディーラーオプション設定が豊富で高額が登録車を軽自動車より扱いたいというのが本音だ。
別の視点では、2050年カーボンニュートラルに向けた「2035年までに軽自動車を含めた100%電動化」という政府方針の影響も大きい。軽自動車はコスト増でも価格を抑えることで、さらなる薄利多売商品になってしまうからだ。
これまで、時代の変化に対応して生き抜いてきた軽自動車。Xデー後の道筋ははっきりと見えてこない。
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