■イギリスのMINIからドイツのニューMINIへ
ニューMINIは、日本では、2002年3月2日、ミニの日に発売以来、好調なセールスを記録。発売初年からJAIAが公表する外国メーカー車モデル別新車登録台数において、トップ5内にランクイン。
その後も、現在まで5位以内に留まり続けるだけでなく、2016年から5年連続モデル別ランキング1位を記録。さらに2020年夏には、ニューMINIシリーズ全体の日本累計販売台数が30万台を突破したことも公表された。それでは年別のニューMINIの国内登録台数の推移を見ていこう。
導入初年の1万台突破は、3ドアハッチバックのみで達成されたものであり、当時の注目度の高さがうかがえる。
そこから成長を遂げた現在は、コロナ過で厳しい販売に置かれた2020年でも初年の2倍。ピークとなった2018年では、約2.6倍まで拡大している。
これは、クラシックMINIとは全く異なるニューMINIが、日本でしっかりと支持されてきたことを物語るものだ。なぜ大型化したにも関わらず、MINIの国内販売は成長を続けられたのだろうか。
その流れを加速させた秘策は、モデルバリエーションの拡大だ。その中でも革新的だったのが、2011年投入のMINIクロスオーバー(初代)だ。
ニューMINIはサイズアップを図りながらも、3ドアハッチが基本。その後、登場した派生モデルとなる2008年導入のMINIクラブマン(初代)も、オリジナルのデザインを意識し、運転席側のみコンパクトな観音開き式のリヤドアを与えるなど、新しくも伝統も重視したデザインであった。
しかし、MINIクロスオーバーは、クラシックから見ると大きすぎると言われた3ドアハッチバックを軽く上回るボディの大型化を加え、なんとシリーズ初の3ナンバーに。さらに5ドアスタイルと4WDの設定など異例尽くしのモデルであった。
当時、筆者も初めてMINIクロスオーバーと対面した際、カエルのようなスタイルとボディの大きさから、「これはMINIじゃない」と素直に感じたほど。まさにMINIにあってMINIにあらず、それがクロスオーバーだった。
■クロスオーバーの存在がファミリー層をキャッチ
しかし、これがニューMINI躍進の第2ステップとなる。
MINIに関心があるが、実用面から購入を断念していたファミリー層が見事に食いついた。これによりプライベートカーが主体であったMINIが、ファミリーカーへと守備範囲を広げる大きなきっかけとなった。
それを裏付けるように、BMWブランド同様に、モデルの多角化を図ったMINIファミリーの中でも、プライベート性の高いスペシャルティモデルの「クーペ(2011年日本導入)」と「ロードスター(2012年日本導入)」は、たった一世代で消滅。
後席を備えたクロスオーバーの3ドアクーペモデル「ペースマン」も、やはり1世代で終わってしまった。
現在では、その役目は、伝統的な3ドアハッチバックとコンバーチブルに集約されている。2014年日本初内の3世代目ニューMINIでは、そんなクロスオーバー人気を受けて、ハッチバックモデルにも初の5ドアを設定。
オリジナルに近いスタイルと機能性の向上が、より多くの人に支持されることに。またダックスフンド的な胴長スタイルも、MINIの愛嬌を強調する良きアクセントともなった。この成功が登録台数の2万台突破への大きな足掛かりになったのである。
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