S13シルビアは何が凄かったのか? 当時の若者が熱狂したデートカーの魅力

■初期型S13のドライビングプレジャーはどうだったか? 

 搭載するエンジンはCA18型の1.8L直4で、NAモデル135馬力のJ’s、Q’sと、ターボモデルで175馬力のK’sが用意されていました。そのK’sは、軽快に吹き上がるエンジンで、パワーもトルクもちょうど手頃、爽快な加速性能を持っていました。

1.8L 16バルブ直4ターボのCA18DETエンジン 前期型
1.8L 16バルブ直4ターボのCA18DETエンジン 前期型

 オプションの4輪操舵システムのHICASⅡは、ハンドルを切ったのと同じ方向に後輪が切れる同位相制御で高速コーナーで安定性を高める働きをしてくれ、セットオプションとなる14対1のクイックなギアレシオによるシャープな応答性と、その先の安定性を持っていました。

 コーナー入り口ではハンドルの少ない操作で「スイッ」とノーズが向きを変えてくれ、コーナー半ばから立ち上がりにかけては後輪が同位相に切れるので、リアにドシっとした安定感があるんです。

 後輪駆動のクルマでコーナーを攻めていくとアクセルコントロールがシビアになってくるのですが、シルビアの場合はそうした不安感が少なかったのを覚えています。

 ただ、サーキットに持ち込んでタイムアタック的な走り方をすると、同位相制御とクイックなステアリングギヤ比が仇となるのか、ターンインでよほどステアリング操作に気をつけないと、フロントタイヤからずるずる滑り出す、いわゆるアンダーステア傾向を示してしまい、乗りにくかったのを覚えています。

 同様に、サーキットでのパワーフィールも高速域の伸びが物足りなく感じました。当時のターボは圧縮比が低く、シルビアも8.5対1(CA18DET)と低かったため、ごく低回転域のトルクが細く、ターボのピックアップもあまりいいとは言えませんでした。

 正直サーキットでは迫力不足な印象は否めませんでした。

■SR20型エンジンでFRの走りをワンランクアップグレードした後期型

 パワー不足は1991年のマイナーチェンジで解消することになります。それまで搭載していた1.8LのCA18型エンジンが、2LのSR20型に変更されたからです。

 これによってNAは135ps/16.2kgm→140ps/18.2kgmへ、ターボは175ps/23.0kgm→205ps/28.0kgmへパワーもトルクも高くなって、断然力強くなりました。

1991年にマイナーチェンジしたS13シルビア後期型。主な外観の変更点はリアスポイラー形状とアルミホイールのデザイン
1991年にマイナーチェンジしたS13シルビア後期型。主な外観の変更点はリアスポイラー形状とアルミホイールのデザイン

 個人的にはNAエンジンのパワー(トルク)アップが印象的です。1.8Lではちょっとパンチ不足な印象があったのですが、2Lになって、低~中回転域のトルクがぐっと充実したことで、普通に乗って楽しいNAスポーティーカーでした。

 ターボも速さに迫力が増しました。高回転までパワーが伸び、車速のノリが断然よくなっていました。パワー(トルク)が増すとアクセルコントロールでのクルマのコントロールもぐっと容易になります。

 同時にHICASⅡも1991年のマイナーチェンジで低速でハンドルを切ったのと反対側に後輪が切れる逆位相制御が入ったスーパーHICASへと進化。コーナー進入時のアンダーステア傾向がだいぶやわらぎました。

 いままではフロントタイヤが外に逃げそうになるところを、マイナーチェンジ後はクルマ自体が向きを変えてくれる感じでターンインしてくれるようになったので、だいぶ走りやすくなりました。

 いずれにしてもいままでのFR車の走りをワンランクアップグレードしてくれたのは間違いありません。

 価格も200万円前後と性能を考えたらコスパのよさは抜群で、当時を振り返ってみても、20代の若者が頑張れば手の届くリアルスポーツモデルでした。

 手の届く価格、手頃なサイズ、振り回して走るのに充分なパワーと3拍子揃った頃で折からのドリフトブームのアフターバーナーに点火する役割を果たしたものシルビアでした。

【画像ギャラリー】’88-’89日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「アート・フォース・シルビア」を写真でチェック!!

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