■ワゴンR対ムーヴの戦いではつねにトップ争いを演じてきたが・・・?
とはいえ2008年ごろのトップカテゴリーはまだスーパーハイトワゴンではなく、ハイトワゴンの人気が高く、スーパーハイトワゴンが販売台数1位に躍り出るのは2012年度のことです。
ホンダはそれまで弱かった軽自動車の分野に資金、人材、技術を大量に投入。2011年12月に初代N-BOXを市場導入。そのN-BOXが2012年度に1位となるのです。その後N-BOXは2014年度を除いてつねに1位をキープしています。
唯一、1位を譲った2014年度のトップセールスはタントでした。前年9月にタントはフルモデルチェンジし3代目に進化しています。その後、タントは2019年7月にふたたびフルモデルチェンジを果たしますが、2020年度も1位に返り咲くことができませんでした。
月別でみても2019年11月に1度トップの座を手に入れますが、その1回だけでした。しかも2020年度の月別販売台数を見ると、毎月のトップセールスはN-BOX、2位がスペーシア、3位がタント(10月だけ2位と3位が逆転します)とタントはかなり苦戦を強いられています。
ワゴンR対ムーヴの戦いではつねにトップ争いを演じてきたダイハツの軽自動車としてはちょっとふがいなさを感じます。果たして、その原因はどこにあるのでしょうか?
■顧客の欲する仕様で見えてくる「差」
もっとも大きな要因は価格にあるといえるでしょう。N-BOX、スペーシア(スペーシアカスタム、スペーシアギア含む)、タント(タントカスタム含む)の価格帯は以下のようになります。
・N-BOX:142万8900円~202万2900円
・スペーシア:138万500円~188万4300円
・タント:124万3000円~200万2000円
この価格帯を見るとN-BOXが高いように思えますが、じつは違います。
今、クルマを買うとなったらやっぱり衝突軽減ブレーキなどの先進安全装備が欲しいですよね。さらにあれだけ世の中で自動運転、自動運転と言っていると、その入り口といってもいいアダプティブクルーズコントロール(ACC)はやはり欲しいと思うはずです。
そして、バックソナーなどの駐車支援システムについてもやはり欲しいと思う人が多い装備です。N-BOXは全車でこの3つの装備が標準装着されますが、スペーシアはバックソナーは全車に標準されるものの衝突軽減ブレーキは一部車種には非装着で、ACCは一部車種に標準もしくはオプション。
タントは3つとも装備されない、オプションでも装備できないといったグレードもあります。この3種の装備が付いた状態でのもっともリーズナブルなモデルは以下のようになります。なおオプション装着は多くの場合、セットオプションとなるのでACCのみが装備されるとは限りません。
・N-BOX:142万8900円(L・FF)
・スペーシア:160万1600円(ハイブリッドX・FF)
・タント:164万4500円(Xターボ・FF)
N-BOXとスペーシアの価格差は17万2700円、N-BOXとタントの価格差は21万5600円にもなるのです。もちろんほかの装備との兼ね合いもありますから一概には言えませんが、ベーシックモデルでも重要装備が充実しているN-BOXが販売数を伸ばすのは当たり前でしょう。
さて、ここにさらに装備を加えた例を出してみましょう。リアのパワースライドドアです。N-BOXとスペーシアは、左パワーオートスライドドアはボトムグレード以外は標準装備です。しかし、タントカスタムは全車標準なのですがタントは5グレード中2グレードのみ標準装備となります。
衝突軽減ブレーキ、ACC、バックソナーに加えて左側パワースライドドアを装備するクルマで一番リーズナブルなのはN-BOXのL(FF)で155万9800円となります。タントの場合、XSターボのFFで164万4500円となってしまいます。
両側パワースライドドアも装備した場合、一番リーズナブルなのはスペーシアのハイブリッドX(FF)で160万1600円です。同様の装備でN-BOXは165万8800円、タントは169万9500円となります。
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