フィットモデューロXは高すぎる? 妥協なき開発に286万円の真価があった

フィットモデューロXは高すぎる? 妥協なき開発に286万円の真価があった

 ホンダが販売する自動車の純正部品を開発するホンダアクセス。そのホンダアクセスが自社パーツを使って仕上げるコンプリートカーが『Modulo X』だ。

 2021年6月に一部改良を受けたホンダ フィットに、新たにModulo Xが設定された。片岡英明氏の試乗レポートをお届けする。

文/片岡英明、写真/HONDA

【画像ギャラリー】山椒は小粒でピリリとからい!! 運転がもっと楽しくなるフィット Modulo X登場!!


■スポーティグレードが消えた現行フィットにモデューロXが登場

スポーティグレードが消えた現行フィットにModulo Xが登場
スポーティグレードが消えた現行フィットにModulo Xが登場

 ホンダアクセスは純正アクセサリーに加え、ワークス直系のチューニングカーであるコンプリートカーも手がけている。そのブランドが「ModuloX」だ。高度な技術力を持つエンジニアが匠の技を用い、人の感覚にもこだわりながら走りの味を磨き上げている。

 その最新作として送り出されたのがフィットのモデューロXだ。ご存じのように、現行のフィットには先代にあったRSのようなスポーティグレードがない。そこでホンダアクセスがモデューロXを開発し、リリースした。

 ベース車はハイブリッド車のe:HEVで、パワートレインは1.5Lの直列4気筒DOHCエンジンにモーターを組み合わせている。パワースペックは変えていない。トランスミッションも無段変速機のCVTだけだ。モデューロXは前後にエアロバンパーを、テールゲートにもスポイラーを装備している。

 また、専用セッティングのダンパーを採用し、軽量な16インチアルミホイールを履いた。シートはスエードとレザーの上質なもので、ブラック一色に加え、おしゃれなブラックとボルドーレッドのコンビシートを設定する。

■ノーマルに比べて硬めの足回りがスポーティー

今回の試乗ではノーマルのフィットも用意して走り比べた。ご存知のとおり、小型車ならではの取り回しの良さと後席の快適性を兼ね備えたコンパクトハッチだ
今回の試乗ではノーマルのフィットも用意して走り比べた。ご存知のとおり、小型車ならではの取り回しの良さと後席の快適性を兼ね備えたコンパクトハッチだ

 最初にステアリングを握ったのは、比較用に持ち込んだノーマルのフィットe:HEVだ。2モーターのハイブリッドシステムはモーターのアシストによって滑らかな加速とクラスを超えた静粛性を披露した。タイヤは185/55R16サイズのヨコハマ製ブルーアースを履いている。

 ハンドリングは素直で、穏やかな乗り心地も好印象だった。だが、コーナーが連続するステージでは舵の遅れや上半身の揺れが気になる場面もある。トラックと並走すると気流によって挙動が乱され、ステアリングで修正を与える場面もあった。

 モデューロXに乗り換える。操舵フィール、乗り心地ともに引き締まった印象だ。同じタイヤを履いているが、スポーティムードと操っている感がグッと強くなっている。スプリングも専用かな、と感じるほど低速域ではちょっと足が硬めになった印象を受けた。荒れた路面では揺すられ感も気になる。

 また、路面からの音も大きくなったように感じた。だが、操る楽しさやスポーティな走りにこだわる人には魅力的な1台になるはずだ。

 高速走行ではエアロパーツがダウンフォース効果をうまく発揮しているように感じられた。リフトバランスがよくなったようで、クルマの落ち着きが増している。レーンチェンジしたときのクルマの収まりも速やかだ。

 スピードを上げていくと、ステアリングとボディの落ち着きがかなり違うと感じられ、フラットな乗り味が好ましい。引き締まった乗り味は変わらないが、荒れた路面でもバタつかなくなり、接地感がよくなったと感じる。

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