自動運転技術はついに二輪車にも 転倒ゼロでストレス大幅低減!!【自律自動運転の未来 第23回】

■自立運転で転ばないバイクを

 では、オートバイには四輪車のような自動運転技術は搭載されないのでしょうか?

 じつはARASの実装が進む一方で、各国の各二輪車メーカーや部品供給メーカーでは、「自立」して「自律」走行を行なうオートバイの開発にも取り組んでいます。

 ホンダはヒューマノイドロボット「ASIMO」(アシモ)の研究で培った独自のバランス制御技術を応用した二輪車「Honda Riding Assist-e」を提案しています。

ホンダが2017年の東京モーターショーに出品した「Honda Riding Assist-e」搭載のオートバイ。二足歩行ロボットASIMOの技術が反映されていると聞くと胸が熱い
ホンダが2017年の東京モーターショーに出品した「Honda Riding Assist-e」搭載のオートバイ。二足歩行ロボットASIMOの技術が反映されていると聞くと胸が熱い

 ライダーの有無を問わず二輪でありながら自立することができ、ライダーが少しバランスを崩してもバイク自らバランスを保つことで低速走行時や停止時のふらつき、さらには取り回しの際につきまとう転倒リスクを軽減します。

 四輪車ではHonda SENSING Eliteにはじまるレベル3の“自律自動”、そしてオートバイでは“自立自動”という「のりもの」に応じた技術の昇華はいかにもホンダらしく独創性が光ります。

 ヤマハ発動機も自立走行に取り組んでいて、Honda Riding Assist-eとほぼ同時期に自立走行オートバイ「MOTOROiD(モトロイド)」を発表しています。

 さらにヤマハ発動機では、市販しているオートバイにヒト型自律ライディングロボットである「MOTOBOT」を乗車させて自律自動ライディングさせる、独自の研究開発にも取り組んでいます。

 ヤマハ発動機によると、「ロボットは用途を限定して特化させることで、人を超越する性能を発揮するといい、MOTOBOTではその優位性を活かして、サーキットにおけるラップタイムでMotoGPライダーのバレンティーノ・ロッシ選手に挑み続ける」と、開発意義を表明してきました。

ヤマハの「MOTOBOT」は、転ばない技術のさらに先、サーキットで速い自動運転バイクを提案する。画像は自立走行オートバイ「MOTOROiD(モトロイド)」
ヤマハの「MOTOBOT」は、転ばない技術のさらに先、サーキットで速い自動運転バイクを提案する。画像は自立走行オートバイ「MOTOROiD(モトロイド)」

 2021年8月5日、そのロッシ選手が引退を発表します。レースフィールドからロッシ選手が去ってしまう寂しさはもちろんのこと、MOTOBOTはロッシ選手よりも速く走ることがひとつの開発目標であっただけに、こちらも残念です……。

 現在MOTOBOTは、Ver.2へと進化し200㎞/h以上での自律自動走行が可能です。肝心のライディング能力も大幅に進化し、たとえばロッシ選手が85.740秒で走ったサーキットを、MOTOBOT Ver.2は117.504秒で走りました。

 その差は31.764秒。決して小さくありませんが、人と同じオートバイをロボットが操り、そして究極のライダーであるロッシ選手を目指す姿は、まさしくオートバイならではの「人と機械の協調運転」です。

ロッシとMOTOBOTのライディング。まだまだ差は大きいが、近い将来ロボットのほうがはるかに速くサーキットを周回する時代がくる…のか?
ロッシとMOTOBOTのライディング。まだまだ差は大きいが、近い将来ロボットのほうがはるかに速くサーキットを周回する時代がくる…のか?

 筆者は、オートバイに四輪車のような自動運転技術は必要ないと考えています。

 しかし、こうしたヤマハ発動機の取り組みは、この先のオートバイ開発においてどんな自動運転技術を作り上げていくべきかという、ひとつの羅針盤になることは明らかです。オートバイが求める自動運転技術には作り手と乗り手、両方の夢が感じられますね!

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