■77年の伝統が息づくジープ・ラングラー
Gクラスと並んで、いやGクラス以上に伝統を順守しているオフロード4WDが、ジープ・ラングラーである。ラングラーという名前になったのは1987年からだが、なにしろジープ直系で、ジープ誕生以来の伝統を守っているのだから強い。
ジープ・ラングラーの人気も近年高まるばかりだ。2020年の年間販売台数は、なんと前年比+1.7%の成長となる13588台を記録。
そのブランドトップに君臨するのが、アメリカン正統派クロカンである「ラングラー」で、2020年の販売台数は、5757台と全体の約4割を占めるほどなのだ。
ラングラーは決して高級車ではないが、伝統的なジープスタイルと、先進国ではほぼ必要のない超本格派オフロード4WDであることが、独特の本物感を生み出している。
芸能界でも、岩城滉一やヒロミといった本物のクルマ好きをはじめとして、新山千春や劇団ひとりも愛車にしている。繰り返すが、芸能人が乗るのはつまり、そのクルマの存在がカッコいいからである。
■実に71年ぶりにフルモデルチェンジした人気急上昇中のレトロ&モダンSUV
伝統を守っているという意味では、ランドローバー・ディフェンダーも強力な存在だ。昨年、71年ぶりにモデルチェンジしてモダンになったけれど、旧型のイメージの残り方が実にステキ。世界中で人気が爆発している。まだ芸能人は乗ってないようですが、そのうち乗るんじゃないでしょうか。
■新型ランドクルーザーはベンツGクラスに迫る人気となるか?
そして8月に登場したのが、新型ランドクルーザー。いわゆる300系である。まだ実物を見てもいませんけど、写真を見るだけで、「これはひょっとして、Gクラスに迫る大人気になって、芸能人が大挙購入するのではないか!?」と予感させる。
もちろんランクルは以前から、「キング・オブ・オフローダー」と呼ばれていた。その無敵のオフロード性能+鉄壁の信頼性は、Gクラスだってまったく寄せ付けない。
実際のところ途上国では、Gクラスなんてお呼びじゃない。故障がシャレにならない地域では、ランクルじゃないとダメなのだ。私もチベット旅行では、ランクルのお世話になりました。ウズベキスタンでも無敵でした。
その流れで、現在途上国ではレクサスLXが最高のステイタスになってるが、LXもベースはランクルなので、ランクルみたいなもんですネ!
しかし、ランクルには弱点があった。先進国での人気が、それほどでもなかったのだ。日本では「一番盗まれるクルマ」として大人気だが、それも途上国人気の裏返し。意外にも、ランクルに乗ってる芸能人も、カンニング竹山(80系)くらいしか聞いたことがない。
なんつーか、先進国ではランクルって、マニア人気なんだよね。「カッコつけてないところがカッコいいホンモノ」みたいな。だから芸能人はあんまり飛びつかなかったのだろう、たぶん。
が、300系の登場で、その流れはひょっとして変わるのではないか?
日本ですでに納車4年待ちと言われるほど人気が爆発しているが、その最大の理由はデザインにある。これまでランクルと言えば、デザインはただただ無骨一遍党。色気のカケラもなかった。
ランクルファンに言わせれば「それがいい」ということになるのでしょうが、フォルムは無骨だけどパネル面やディテールは中途半端にモダンだったりして、デザインにうるさい私に言わせれば、ランクルは「デザイン不毛の地」でありました。
途上国での大人気も、すべてはメカへの信頼ゆえ。デザインなんざオマケのオマケである。ところが300系は、一転して見るからにカッコイイ。ダサカッコイイんじゃなく直球でカッコイイ。
特にカッコいいのはGRスポーツだ。ブラックのグリルがスポーティで若々しい。そのカッコよさはちょいワル系。ほお髯みたいなサブグリルが、モテるオヤジ顔を演出している。
一方、通常モデルは、グリルが従来のランクル的で、相変わらずデザイン不毛の地の残り香が漂う。かなりトッツァンっぽい。途上国ではこっちのほうが人気があるのかもしれないが、先進国では断然GRスポーツである。
300系のデザインの弱点は、お尻にある。リアウィンドウはほぼ直立し、サイドの絞り込みもごく小さいのはともかくとして、サイドウィンドウ後端の絞り方やリアピラーの造形がヘタクソなので、横から見るとケツが持ち上がっているように見え、それがでっちり感につながっている。イケてるオヤジがでっちりではカッコがつかない。
リアウィンドウが立っているのは、本格派オフロード4WDの共通事項だが、Gクラスやラングラーやディフェンダーは、どれもサイドウィンドウを水平基調のまま後ろまで貫いている。それでいてケツを重く見せないよう、リアピラーを細くし、力強さはリアクォーターピラーの太さで表現している。
それに比べて、ランクル300系のサイドウィンドウやリアピラーの造形は実に残念だ。もうちょっと文法通りスッと伸ばせば、どこから見てもちょいワルになっただろうに。
しかしまぁ、クルマも人も顔が命。顔がイケてれば8割は許せる。これまでのランクルには、イケメンはひとりもいなかっただけに、ついに登場したイケメンのランクル300系は、ランクルの歴史を激変させる可能性を秘めている。
マニア的には、3.3リッターV6ディーゼルターボの登場が非常にうれしい。パワーはなんと309馬力! WLTCモード燃費も9.7km/L!
これなら実燃費でリッター7キロくらい走りそうですが、そういうのは芸能人には関係ありませんネ。彼らには本物感+見た目のカッコ良さが重要で、節約は必要ない。GクラスもAMG「G63」が大人気なのですから。
そう考えると、300系はエンジンがちょっと弱い。ガソリンエンジンは3.5リッターV6ツインターボのみ。415馬力は十分すぎるパワーだが、ステイタス性はいまひとつだ。だからこそ質実剛健なランクルなのですが、芸能人を飛びつかせるには、やや物足りないかもしれない。
このように、弱点もあるランクル300系だが、しかし中身の無敵ぶりは誰もが知っているし、顔もイケメンになった。芸能人の間でもかなりの人気になる予感がする!
Gクラスに乗っている芸能人たちのうち何人かが、ランクル300に浮気するかもしれない。というより増車ですかね?
新型ランドクルーザーは、従来のマニア人気の枠を飛び越え、Gクラスのようなアイドル的存在になっていくだろう!
コメント
コメントの使い方