狭く曲がりくねったコースを高出力のマシンで走り抜けるラリーは危険と隣り合わせだが、それは参加する選手だけでなく、取材しているカメラマンにも当てはまる。
三菱の世界ラリー選手権(WRC)活動の黄金時代を築いたのが、ラリー参戦用のベースモデルとして開発されたランサーエボリューションだ。そしてランエボで多くの勝利を獲得したのが、トヨタ GAZOO Racing WRTの代表も務めた名ドライバー、トミ・マキネンだ。
今回は佐久間健カメラマンが目撃した、マキネンによる2000年のツール・ド・コルスでのアクシデントを振り返る。
文・写真/佐久間 健
【画像ギャラリー】コーナーのアウト側でのWRC観戦・撮影は厳禁!! コースアウトしたクルマが飛んでくる恐れがあります
■マキネンがコースアウト!! 撮影中のカメラマンもろとも谷底へ……
2000年のWRCシーズンはベース車から大幅な改造が許された「WRカー」規定が採用されていたが、三菱チームは混走が許された改造範囲の狭いグループA既定のマシンで戦う唯一のワークスだった。
初戦のモンテカルロでトミ・マキネン(トヨタがヤリスでWRCに復帰した時のチーム代表で、現在はトヨタのモータースポーツアドバイザー)が優勝したが、その後は優勝がないまま今回のツール・ド・コルスに参戦となった。
マキネンのチームメイトのF・ロイクスは、最初の競技区間のSS1をスタートし、200mほど走ったところでコースアウトして早々とリタイヤしてしまう。
そんな悪い流れの中でマキネンも3日目の最初のSS13で右コーナーを曲がり切れずにコースアウト。この時コーナーのアウト側にいたカメラマンを巻き込んで谷へ落ちてしまう。
場所は左ヘアピンを回り込んだ先の右コーナーで、カメラマンが巻き込まれたのは、写真を撮るには狭く、逃げ場のないところ。
我々が撮影するときは原則コーナーのアウト側には立たない。特に高速になればリスクは、グンと高くなる。これに対してイン側は、スピンしたラリーカーが来ることはあるが、危険度は低い。
驚いたのは、このあとあっという間に医療ヘリが飛んできて、ネコの額ほどの片側1車線の狭いコースに直接降りたことだった。
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