ワゴンRスマイルはなぜ丸目に? 大ヒットの法則は丸目にあった!?

■丸目のSUV

 丸目が最も目につくカテゴリーはSUV系だ。前述のジムニー、スペーシアギア、ハスラーに加えて、ダイハツのキャストもSUV系。登録車ではクロスビーもクロスオーバーSUVだ。

現行の4代目がデビューしてはやくも3年が経つが、いまだ納期は1年待ちと大人気の『ジムニー』。このクルマの丸目はもはやジムニーのアイコンとなっている
現行の4代目がデビューしてはやくも3年が経つが、いまだ納期は1年待ちと大人気の『ジムニー』。このクルマの丸目はもはやジムニーのアイコンとなっている

 輸入車では、本格的なオフロード4WDモデルの丸目が、強烈な存在感を発揮している。ジープラングラー/レネゲード、メルセデスGクラスが見事な丸目なのだ。

 最近ここに、ランドローバーの新型ディフェンダーが加わった。正確には四角い目の中に上部が欠けた丸が入っている形だが、これも丸目の仲間に入れていいだろう。

欧州ではDRL(デイタイムランニングライト)が義務化されておりこれを点灯することでクルマのデザインが完成される。また昨今のLED化でデザインの自由度が広がったのも丸目が増えた要因(写真はランドローバーディフェンダー)
欧州ではDRL(デイタイムランニングライト)が義務化されておりこれを点灯することでクルマのデザインが完成される。また昨今のLED化でデザインの自由度が広がったのも丸目が増えた要因(写真はランドローバーディフェンダー)

 ディフェンダーの存在感と人気ぶりを見ると、近い将来、レンローバー系にも、ディフェンダーのような隠れ丸目が登場する予感がする。

 また、ラングラーとGクラスは、言うまでもなくオフロード界の偉大なるアイコンであり、世界中で人気となっている。丸目人気は全世界的なものなのだ。

 これらのモデルは、フォムルそのものがレトロな真四角タイプなので、丸目が非常によく似合う。四角いクルマは、フォルムが幾何学的なので、同じく幾何学的な丸目が似合いやすい。

■スポーツカーデザインのトレンドは丸目の兆しあり!?

 四角いボディといえば、N-BOXのヘッドライトも、四角の中に丸目だ。N-BOXは、ここ数年来、国内販売トップの座に君臨し続けている。実は日本の自動車業界は、丸目に支配されていた……と言えなくもない。

 だんだん、丸目こそがヒットの秘訣という、「丸目陰謀論」が、現実味を帯びてきた。

 歴史の長いクルマや、リバイバルカーは、SUVならずとも丸目が主流。ポルシェ911、MINI、フィアット500、ホンダeがそれに当たる。

ポルシェ911といえばカエル顔(カエル目ヘッドライト)に馴染みが深い。エンジン水冷化の996で1度だけ丸目を涙目に変更したが997で丸目に戻り、以後ポルシェは伝統のアイデンティティを守り続けている(写真は992型)
ポルシェ911といえばカエル顔(カエル目ヘッドライト)に馴染みが深い。エンジン水冷化の996で1度だけ丸目を涙目に変更したが997で丸目に戻り、以後ポルシェは伝統のアイデンティティを守り続けている(写真は992型)

 今後丸目が広がりそうなのは、スポーツカーの分野だろう。なにしろ、懐古的なデザインが主流になりつつあるのだから。先日北米で発表された新型フェアレディZも、瞳型のヘッドライトで、丸目と言えなくもない。

1960年代のクルマはほぼ丸目だった。1969年にデビューした初代S30型Zはフロントフェンダー前方上部奥に配置された丸目ライトだったので、新型Zはデイライトでそれをアイコンとして表現
1960年代のクルマはほぼ丸目だった。1969年にデビューした初代S30型Zはフロントフェンダー前方上部奥に配置された丸目ライトだったので、新型Zはデイライトでそれをアイコンとして表現

 その他現行モデルでは、正規輸入はされていないが、ダッジチャレンジャーが丸目4灯だ。かつて一般的だった丸目4灯だが、今や世界中見渡しても、チャレンジャーだけかもしれない。

 丸目4灯は、かつての117クーペをはじめとして、中高年世代にとっては見るだけで涙が出る存在だが、このチャレンジャー、2008年の登場ながら、本国アメリカでは、マスタングとともに年間約6万台も売れている。

 映画『ワイルドスピード』シリーズで大活躍している影響もあるだろう。丸目はカワイイだけじゃない。超武闘派にもなりうるのだ! 現行カマロやマスタングは、小さめの異形ヘッドライトだが、どちらもレトロ系のデザインだけに、次期モデルは丸目で登場する確率が高いと見る。

 アルピーヌA110も、元祖は丸目。それに倣って、かなりの異形だが丸っこい目をしているし、鼻の孔(フォグランプ)は完全な丸だ。

1970年代にWRCで活躍したA110をオマージュして2017年に開発された新生アルピーヌA110。当時のデザインを丸目4灯ヘッドライトで再現
1970年代にWRCで活躍したA110をオマージュして2017年に開発された新生アルピーヌA110。当時のデザインを丸目4灯ヘッドライトで再現

 マツダロードスターも、次期型は丸目になる気がしないでもない。初代のリトラクタブル丸目をほうふつとさせるような、デザイン上の工夫に期待したい。ひょっとして次期ロードスターはEVになっているかもしれないが、EVだからこそ、懐かしい裸電球っぽさに期待! なんつって。

 今後も丸目はあくまで少数派だろうが、その存在感は、今後も徐々に増していくだろう。なにしろ丸目は隠れヒットの秘訣なのだから。

【画像ギャラリー】世界中の個性際立つ丸目のクルマを写真でチェック!!

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