ジムニーにハスラーなど今も大人気!! 丸目デザインはなぜ受ける?

ジムニーにハスラーなど今も大人気!! 丸目デザインはなぜ受ける?

 クルマのフロントマスクのデザインは、そのクルマの個性を表す重要なものだ。

 ここのところ、LEDを活用した複雑なデザインのヘッドライトが主流になってきているが、そんな中丸目ライトもその存在感を強めている。

 なぜ昔ながらの丸目ライトが受けるのかを、清水草一氏に解説してもらった。

文/清水草一、写真/ベストカー編集部

【画像ギャラリー】丸目ブーム到来!? 異形ライト全盛の中でトラッドかつキュートな丸目ライトがウケるワケ


■ジムニー、ハスラーから輸入車まで……丸目回帰のムーブメントがキテる!?

最近、丸目デザインの車が好評だ。ホンダeのデザインが絶賛されたからか、とも思ったが、ジムニーやハスラーなど、丸目デザインの車はそれ以前からあった
最近、丸目デザインの車が好評だ。ホンダeのデザインが絶賛されたからか、とも思ったが、ジムニーやハスラーなど、丸目デザインの車はそれ以前からあった

 近ごろ、丸目デザインが非常にウケている……ような気がする。そう感じるのは、ホンダeのデザインが全世界的に絶賛されたから、だろうか?

 しかし、それ以前から、ジムニーやハスラーのデザインはウケていた。輸入車にも丸目回帰のムーブメントがあるような気がする。

 丸目ブームは本当なのか、少々検証してみようじゃないか。

 まず、現在日本で買える新車に、どれだけ丸目があるか調べたところ、17車種だった(重複は避けました)。

 現在日本で売られているクルマは、ざっくり300車種くらいあるので、そのうち丸目は、5%くらいということになる。これは、決して多くはない。

 ヘッドライトの形状は、丸目以外にわかりやすいものとしては角目があるが、それ以外はすべて「異形」。現在はこの異形がほとんどで、そのうち7割方が吊り目だ。丸目は、あくまで少数派である。

 で、その丸目だが、次の4種類に分類できることを発見した。

■丸目一族の4系統

その1)オフロード系丸目

ジープ ラングラー。世界中で有名な丸目の代表格だ。現在でもオフロード4WDのデザインに大きな影響を与えている
ジープ ラングラー。世界中で有名な丸目の代表格だ。現在でもオフロード4WDのデザインに大きな影響を与えている

 かつては、世界中のクルマのほとんどが丸目だったわけだが、中でも世界中の誰もが知っているのが、ジープの丸目だ。あのイメージはあまりにも強烈で、現在でもオフロード4WDの世界に大きな影響を与えている。

 この世で最も単純かつ完璧な形である「円」は、機能が優先されるオフロード4WDとの相性も抜群。具体的には、この5台が当てはまる。

・ラングラー
・レネゲード
・Gクラス
・ジムニー(シエラ含む)
・スペーシアギア

 ラングラーはジープ直系、いやジープそのもの。誕生以来丸目である。一方レネゲードは、2015年に誕生した、ジープをモチーフに登場したコンパクトSUV。つまり近年増加した丸目の1台だ。

 Gクラスについては言わずもがなだろう。現行ジムニーは、初代、そして2代目以来、20年ぶりの本格的な丸目回帰だったので、これまた近年増加組に入れてもいい。

 そしてスペーシアギア。これはオフロード4WDというわけではないが、スペーシアをそれっぽくドレスアップしたクルマで、だからこそあえて丸目を採用している。もちろん近年増加組だ。

その2)トラディショナル系丸目

BMW ミニ。初代ミニをデザインモチーフとしているため、当然丸目フェイスとなる
BMW ミニ。初代ミニをデザインモチーフとしているため、当然丸目フェイスとなる

 オフロード4WD以外で、かつての丸目の名車をモチーフにしたクルマたちだ。リバイバルカー、あるいはレトロカーと言ってもいい。かつてはほとんどのクルマが丸目だったので、レトロカーは自然、ほぼすべてが丸目となるのですね。

・MINI
・フィアット500(アバルト595を含む)
・ポルシェ911
・N-ONE
・ホンダe
・アルトラパン

 MINI、フィアット500は、かつてのミニやフィアット500のリバイバル。この2台は、丸目でリバイバルされてかなりの年月が流れているが、それでもともに21世紀になってからだ。

 N-ONEとホンダeは、N360など創成期のホンダ車がモチーフになっている。初代N-ONEの登場は2012年、ホンダeは昨年登場。ともに近年の増加組に入る。

 ポルシェ911は、丸目というよりかなりの楕円形(MINIも同様)だが、正面から見ればほぼ丸目なので、丸目に含めていいだろう。911の場合、誕生以来丸目を伝統としてきたが、97年登場の996型で涙目を採用し、世界的に大不評。997型で丸目に戻さざるをえなかったという歴史がある。

 アルトラパンは、モチーフになった特定のモデルがあるわけではなく、一時期ウケたレトロデザインの生き残りだ。

 他のこういったレトロカーたちはすべて絶滅した中、ラパンが生き残っているのは、デザインの完成度が高いから(だろう)。ラパンは、初代・2代目は角目ベース(ただし初代後期型は角の中に丸目)だったので、こちらも近年増加組に入る。

その3)お笑い系丸目

どこかコミカルなハスラーの丸目は、例えばエンタツ・アチャコのエンタツのようなお笑い芸人イメージか!? 若い読者のかたはググってください!!
どこかコミカルなハスラーの丸目は、例えばエンタツ・アチャコのエンタツのようなお笑い芸人イメージか!? 若い読者のかたはググってください!!

 スズキのハスラーとクロスビーは、SUV系ではあるけれど、その枠を超えたお笑い系丸目といえるのではないだろうか。この2台の丸目は、昔のお笑い芸人(例えばエンタツ・アチャコのエンタツ)の丸メガネのイメージだ! と私は思う。丸の外側に目尻がついているのは、メガネのツルなのだ!

 これは、初代ハスラーが切り開いた新たな境地である。敬礼。

その4)スーパーエレガンス系丸目

ベントレーの丸目デザインはクラシカルな雰囲気。伝統、格式といったものをを表現する手段なのだ
ベントレーの丸目デザインはクラシカルな雰囲気。伝統、格式といったものをを表現する手段なのだ

 ベントレーがラインナップする3モデルは、すべて丸目なのである。

・コンチネンタルGT
・フライングスパー
・ベンテイガ

 どれも真円ではなく微妙に歪んでいるが、その歪みによって、クラシカルかつモダンなスーパーエレガンスを表現している……と推測される。

 ベントレーの丸目回帰は、03年の初代コンチネンタルGTから。ベンテイガはまだすでに20年近いが、ベンテイガはまだ5年。ひっくるめて近年増加した丸目と言っていいだろう。

次ページは : ■主流にはなり得ないが、丸目を好む層は確実に増えている!

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