スポーツカーにとどめを刺す騒音規制 「フェーズ3」いよいよ施行と深刻な副作用

「フェーズ3の導入」は、現時点、決定していない

 国交省に進言する専門委員会の2019年資料の議事録によると、「フェーズ3導入に関する調査検討は、フェーズ2規制が適用される平成32年(2020年)から開始し、平成34年(2022年)目途に、今後の自動車単体騒音低減対策のあり方についてとりまとめを行う。」とされており、「フェーズ3の導入」は、現時点決定しているわけではない。

 特に、騒音規制が先行している欧州国連の騒音専門家会合の動向を見ることになっていたが、コロナ禍によって調査会の会合は延期、中止とされており、議論は進んでいない、というのが現状だ。

「技術的に納得できる規制値」を!!

 冒頭で触れたように、騒音規制の目的は「健康への被害を軽減する」ことだ。だがその方法として、ハイブリッド化してエンジン音を下げる、エンジンルーム全体を遮音して音が漏れないようにする、タイヤ性能を上げてロードノイズを下げる、ということをやっていけば、当然ながら、対策に必要な材料も増え、車両価格は上がっていく。

 クルマ側以外にも対策の仕様はあるはずだ。従来よりも高い防音性能をもつ防音フェンスの開発や、低ロードノイズのアスファルト開発、渋滞緩和のための道路整備など、すでに官民一体となって技術開発もされてはいるが、排ガスや燃費などの他規制と同じく、総合力が試されている騒音も、クルマだけに規制を押し付ける今の論調が正しいとは思えない。

 また、ヨーロッパのように、市街地を出たら高速走行が当たり前な地域での騒音規制値と、信号や交差点の多い日本の騒音規定値を合わせるのは、若干ナンセンスにも思われる。騒音測定の試験条件「アクセルべた踏みの全開加速」を、日本でするドライバーが何人いるだろうか、という疑問も浮かぶ。

 もっというと、同じデシベルの騒音でも、音の質によっては印象が全然違う。自動車開発では、ロードノイズは周波数ごとにメカニズムを切り分けて対策検討をしている。

 人間の健康被害軽減が目的であるならば、「コー」といった200Hz以上の高い音は、人間は不快に感じやすく、「ゴー」といった100Hz程度の低い音だと気にならない、といった人間感覚も加味した、「妥当な目標値」にしてほしい、と思う。

【画像ギャラリー】騒音規制で消える可能性がある国産スポーツカーたち(33枚)画像ギャラリー

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