アクセルを踏みこんだとき、心地よく高まる排気音は、クルマ好きにとってはたまらないもの。この排気音が、アクセルを踏み込んでもまったくしなかったら…。たとえ、スピーディな加速をしていたとしても、それだけの加速感は感じないはず。クルマにとって、排気音は、動力性能と同じように加速感を演出する重要な要素なのです。
ここでは、排気音の発生メカニズムや排気音を決定づける要因、心地良く加速感を高める排気音について、解説していきます。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:写真AC_ ZKY
写真:TOYOTA、NISSAN、BMW、MAZDA、Mercedes-Benz、LEXUS、写真AC、Mr.ソラン、ベストカー編集部
排気ガスの膨張・収縮が排気音の正体
排気音は、排気弁の開閉によって発生する、間欠的な高温・高圧の燃焼ガス(排気ガス)が、パイプ後端から一気に吐出して膨張することで発生するものです。排気ガスの膨張・収縮によって、パイプ出口周辺の空気に圧力差(疎密波)が生じて空気が振動、これが「排気音」として人の耳に聞こえてくるのです。
排気管にはマフラーが装着されていますが、マフラーは排気音を消音する役目をもっています。マフラーは内部がいくつかの部屋に仕切られており、高温・高圧の排気ガスが、マフラーの仕切られた複数の部屋を通るたびに、徐々に排気エネルギーが減衰されて消音されるのです。
最近は見かけることが減りましたが、いまから30年以上まえは、マフラーなしで爆音を発しながら街中を走り回るクルマをよく見かけました。マフラーがないとすべてのクルマがあれに近い爆音を発してしまうのです。
エンジン回転数と気筒数が多いほど高い音に
排気音は、エンジンのシリンダー内で起こる爆発が起振源なので、音の高さ(基本周波数)はエンジンの爆発の周期そのものであり、エンジン回転数と気筒数に比例します。
・エンジンの爆発回数(回数/秒)=基本周波数(Hz)=エンジン回転数(rpm)/60/ 2×気筒数
注):エンジン回転数を2で割っているのは、4ストロークエンジンは2回転に1回の爆発が発生するため
例えば、エンジン回転数3000rpmの場合、4気筒エンジンの排気音の基本周波数は100Hz、6気筒は150Hz、8気筒は200Hzとなります。エンジン回転が上昇する、気筒数が増えるほど排気音は高周波にシフトします。
ちなみに、周波数が2倍になると、音階で1オクターブ変化するそうです。絶対音感の持ち主だったら、排気音の変化でエンジン回転数が分かるかもしれませんね。
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