四輪を操舵して安定性や旋回性能、日常での取り回しを向上させるのが4WSだ。切れ角は車種によるが、前輪に加えて後輪が動くのはインパクトがある。
そんな4WSが一般に大きなインパクトを与えたのが、3代目ホンダプレリュードのCMではなかろうか。ちょっとハンドルを切ると前輪に合わせて後輪が同位相に切れていき、さらに切っていくと前輪とは逆方向に切れていくのが衝撃的だった。
そんな4WSは一時期あまり見なくなっていたが、近年採用車種が増えている。そこで4WSが復活した理由に迫る。
文/斎藤 聡、写真/HONDA、NISSAN、ベストカー編集部
■見かけなくなっていた4WSに人気復活の兆し!?
最近また4WSを装備したクルマを見かけるようになり、4WS人気復活(?)の兆しが見られます。4WSは4 Wheel Steeringの略で4輪操舵、つまり前輪だけでなく後輪の舵も利かすことができるステアリングシステムです。古くは1920年代のドイツ軍用車までさかのぼるのですが、戦後4WSはほぼ消えてしまいます。
そして1980年代半ば、突然日本で4WSが復活します。日本で初めて4WSが登場したのは1985年にHICASを搭載して登場した7代目スカイライン(R31)でした。
ただし、HICASはハンドルを切ったのと同じ方向に切れる同位相制御のみでした。ハンドルを切ったのと反対方向に切れる逆位相制御が追加されるのは8代目のR32スカイライン(1989年)のスーパーHICASからになります。
同位相と逆位相を備えた4WDシステムで最も早く登場したのは、ホンダの3代目プレリュード(1987年4月)でした。じつはマツダも5代目カペラが1987年5月に4WSを搭載して登場。タッチの差で日本一の称号を取獲得することができませんでした。ちなみにホンダは機械式、マツダは電子制御式でした。
さらに言うと、三菱も87年10月登場のギャランVR-4に4WSを搭載していました。そのあとは、日産がHICAS→HICAS II→スーパーHICASと進化させながらS13シルビア、180SX、フェアレディZ、セフィーロ、ローレル、ステージアと次々に展開。
そのほかにもミツビシGTO、マツダ・センティアシリーズ、スバルアルシオーネSVX、いすゞジェミニ、同ピアッツァ(FF)と続々と4WS搭載車が登場し、文字通り百花繚乱のにぎやかさでした。
けれども各社が競って採用した4WSは熱が冷めるように採用されなくなっていったのでした。
理由は運転に違和感があったから。またクルマのシャシー性能が良くなったことで、違和感のあるシステムを継続して使い続けるほどのメリットがなかった、というのが理由でした。
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