■電子機器の進化で4WSがより実用的に
ところが、近年また4WSが脚光を浴びています。近代的な4WSの登場で印象深いのは、アウディQ7(ダイナミックオールホイールコントロール)でした。後輪が同位相側に最大2度、逆位相側に最大5度(!)操舵され、これに可変ギヤ比ステアリングが組み合わされています。
こんなにリヤの総舵角が大きいのに不思議なくらい自然に(違和感なく)走ることができました。最小回転半径も全長5050mm、ホイールベース2995mmという巨体でアリながら4WSなし5.8mが5.3mに小さくなっています。Q7に関しては特にその巨体から想像もつかない小回り性能に感心しました。
操縦性についても4WSは大きなメリットをもたらします。ルノーメガーヌRSやGTに採用される4WS(4コントロール)は、タイトコーナーでは一回りコンパクトなクルマのように機敏に旋回し、高速コーナーではどっしりした安定性を見せてくれました。
また雨の富士スピードウェイで試乗したポルシェGT3の100Rや300Rで体感した文字通りホイールベースが伸びたかのような安定性と、ダンロップコーナーから先のタイトターンセクションでの機敏な操縦感覚は、RSのメリットを十分に感じさせるものでした。
印象が大きく変わったもっとも大きな理由は、制御の精度が高くなったことだと思います。そして制御精度の高さはボディ剛性やブッシュコンプライアンス(ブッシュの歪み)まで含めた誤差のない設計が可能になったことなのだと思います。
ともあれ、後輪操舵は、ホイールベースを長くしたり短くしたりして機敏さと安定性を自由に作り出す効果を発揮したり、後輪のキャパシティを高める効果を備えているので、作動精度や制御精度を高めることができるようになった現代の4WSは、今後さらに多くのクルマに採用されることになると思われます。
【画像ギャラリー】市販車採用は日本が初!! ひっそりと姿を消したのちに技術の進化で生まれ変わった4WS(13枚)画像ギャラリー
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