まず周囲の確認を
まずは、周囲の状況を確認することです。前走車や後続車はいるのか、対向車はいるか、道路脇に車寄せや緊急待避所などがあるか、などです。そして、ハザードを点灯させ、後続車にトラブルに陥っていることを伝えます。「なにかおかしい」と受け取る後続車は、車間距離をとるなどの、回避行動をとってくれるはずです。
そして、エンジンブレーキ、パーキングブレーキを活用した制動をトライします。マニュアルミッション車であれば、4速→3速→2速と一段ずつシフトダウンをすることで、徐々に減速を強めて速度を落とします。オートマチックミッション車も同様に、Dレンジから3→2→Lと、徐々に落としていきます。
このとき、一度に低速ギアにシフトを入れるのはNG。エンジンの回転数が激変するため、エンジン故障の危険性もあり、また、大きなエンジン音や、減速のショックによって、ハンドル操作をミスする可能性もあります。「徐々に減速」というのがポイントです。
手動のパーキングブレーキは徐々に
十分に減速できたら、次はパーキングブレーキを使用します。ただ、一気に強くパーキングブレーキをかけるのはNG。手で引くサイドブレーキのタイプでは徐々に引き上げ、何回かに分けて効かせていきます。足で踏むタイプのものも、徐々に踏み込みます。一度で強くパーキングブレーキをかけてしまうと、後輪がロックされてしまって、最悪の場合は、スピンをしてしまう可能性もあるからです。
また、電動パーキングブレーキのクルマの場合は、走行中にパーキングブレーキのスイッチを引き上げ続けることで、非常事態として、ブレーキを効かせることができます。日産車の場合だと、引き上げているあいだずっと、ブザーが鳴り続けますが、スイッチから手を離すと、電動パーキングブレーキは解除されるように、設計されています。
なかには、エンジンの制御も含めて減速する車種や、4輪のブレーキ制御を行ってくれる車種も。メーカーや電動パーキングブレーキの世代によって、動作がバラバラですので、非常事態に備え、愛車の電動パーキングブレーキがどのような動作をするのか、確認しておいた方がいいでしょう。
それでも止まることができない場合は、道路わきに設置されている緊急避難所に突っ込むか、ガードレールや路肩に車体を擦りつけ、強引にクルマを停止させます。同乗者がいる場合には、足を突っ張り、シートベルトを握りしめ、頭や体を守るように声をかけ、覚悟を決めて身構えてもらってください。
緊急避難所は、多くの場合、土や砂利で出来た坂が用意されており、クルマをうまく受け止めてくれるようになっています。また、現代のクルマは、衝突安全性能が高いので、ボディ側面を擦ったくらいでは、車体骨格が変形するようなダメージには至りません。
クルマを止めたらガードレールや路側帯側へハンドルを切り、他車を巻き込むような2次災害に発展しないよう、備えます。ギアをパーキングにすることもお忘れなく。
ブレーキが効かないからといって、エンジンをオフにするのはNG。油圧PS(パワーステアリング)の場合だとパワーステアリングが効かなくなり、緊急回避が困難になってしまいます。
下り坂以外でもフットブレーキが効かないときは同様の方法で
故障や雪道など、下り坂ではないところで、フットブレーキが効かないもしくは使えない、という状況に陥った場合も、対処法はほぼ同様です。ハザードを点灯させて周囲に異常を知らせ、シフトダウンで減速をし、パーキングブレーキで停止を試みます。
減速が間に合わず、前走車に追突しそうだったら、ガードレールや路肩に車体を擦りつけ停止させます。何よりも周囲に迷惑をかけることなく、自分と同乗者の安全を最優先し、停止させてください。
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