センチュリーと比肩する国産最高級セダン! プレジデントの栄枯と日産の盛衰

■「フラッグシップ」ゆえに…経営難に陥った日産の選択

 トヨタ センチュリーに先んじて「専用設計の最高級乗用車」という存在を確立させた日産 プレジデントが、言ってはなんですがショボいモデルチェンジを経て生産終了となった理由。

 それは、言うまでもなく「当時の日産が経営不振だったから」ということになるでしょう。

 日産 プレジデントやトヨタ センチュリーのような車は、「何台売れた」とか「それによる利益がいくらだった」「黒字だった」「赤字だった」みたいな話とはまったく無関係な部分に、その存在理由があります。

 メーカーがプレジデント的あるいはセンチュリー的な車を存在させる理由は、「メーカーとしてのステイタス」あるいは「面子」を保つためにほかなりません。

4代目シーマをベースとした3代目プレジデント。国内最後の日産の8気筒エンジン搭載車となった
4代目シーマをベースとした3代目プレジデント。国内最後の日産の8気筒エンジン搭載車となった

 プレジデント事業あるいはセンチュリー事業単体でいくら赤字を垂れ流そうが、「あの車は本当に凄い!」「超絶だ!」「さすが○○社だ!」「天皇陛下も乗ってらっしゃる!」みたいな評価になりさえすれば、それだけでもうすべてOKなのです。

 だからこそトヨタは2018年にもセンチュリーのフルモデルチェンジを行い、今もなおセンチュリーをラインナップし続けています。トヨタには、それを行うだけの余力があります。

 しかし日産には、残念ながらそんな余力はありませんでした。

 お茶を濁すようなモデルチェンジを行い、二度目のモデルチェンジでは、濁したお茶をさらに薄めて提供するのが精一杯だったのです。

 それは残念なことではありました。しかしいつの日か、日産の経営状況が再び万全となったあきつきには、トヨタ センチュリーもビビるほどの最高級専用設計乗用車を――たぶんそれはEVになるのでしょうが――作ってくれることを、それを買う可能性は100%ない筆者ですら期待したいとは思っています。

■日産 プレジデント(初代) 主要諸元
・全長×全幅×全高:5280mm×1830mm×1490mm
・ホイールベース:2850mm
・車重:1990kg
・エンジン:V型8気筒OHV、4414cc
・最高出力:200ps/4800rpm
・最大トルク:34.5kgm/3200rpm
・燃費:5.5km/L(10モード)
・価格:506万2000円(1989年式 ソブリンVIP 前席電動セパレートシート)

【画像ギャラリー】御料車としても使用された日産の由緒正しきフラッグシップサルーン! 歴代プレジデントを見る(20枚)画像ギャラリー

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