これが超精密販売戦略! アクア爆売れでもヤリスとの同士討ちなぜ起こらない


■快適性に勝るのはアクアか

乗り心地や走行性能などは全般的にアクアが上回っている

 同等のことが乗り心地にも当てはまる。ヤリスハイブリッドでは、特に14インチタイヤ装着車は、低燃費指向のタイヤも災いして乗り心地が粗い。路上の細かなデコボコを伝えやすいが、アクアでは、14インチタイヤを装着するのは価格が最も安い燃費重視のBだけだ。

 アクアの売れ筋グレードは、前述の通りホイールベースも50mm長いので、ヤリスハイブリッドに比べて乗り心地が快適に感じる。

 峠道に乗り入れると、ボディが軽くホイールベースの短いヤリスハイブリッドが機敏に曲がるが、居住性、内装の質、乗り心地、動力性能、直進安定性などは全般的にアクアが上まわる。ヤリスハイブリッドは典型的なコンパクトカーだが、アクアはボディサイズも含めて上級指向を強めた。

 燃費性能は、ボディの軽いヤリスハイブリッドが有利だ。2WDの場合、ヤリスハイブリッドXのWLTCモード燃費は36.0km/Lだから、日本で購入可能な4輪車では燃費数値が最も優れる。最上級のZでも35.4km/Lと良好だ。

 アクアはリチウムイオン電池のBは35.8km/Lだが、電池出力を高めたバイポーラ型ニッケル水素を採用するXは34.6km/Lで、GとZは33.6km/Lになる。

 価格も比べたい。アクア2WD・Zは240万円、ヤリスハイブリッド2WD・Zは232万4000円だが、装備に差がある。

 ヤリスハイブリッドZに、アルミホイール(8万2500円)と100V・1500Wの電源コンセント(4万4000円)をオプション装着して装備水準を合わせると、総額は245万500円に高まり、これらを標準装着するアクアZの240万円を上まわってしまう。

■ヤリスの魅力はノーマルエンジン設定と燃費

ヤリスはノーマルエンジンも選べるのがメリットだ。ハイブリッドで比較すると燃費でアクアを上回る

 このようにアクアはヤリスハイブリッドよりも商品力が高く、価格は割安だ。多くのユーザーにとって、アクアはヤリスハイブリッドよりも買い得と受け取られ、販売も好調だ。この影響も受けて、ヤリスの登録台数は前年の50%以下まで下がった。

 それならヤリスの1番のメリットは何かといえば、アクアでは選べないノーマルエンジンの設定だ。1.5Lノーマルエンジンを搭載するヤリスZは、ハイブリッドZに比べて価格が35万3000円安い。しかもヤリスのノーマルエンジンには、1.5Lに加えて1.0Lも設定され、後者の価格は1.5Lをさらに14万3000円下まわる。

 価格が最も安いヤリス1.0X・Bパッケージは、衝突被害軽減ブレーキを省いたから推奨できないが、1.0Xであれば安全装備を充実させて価格は145万5000円だ。

 販売店では「ヤリスの1.0Lエンジン車は、営業などに使う法人向けとされるが、実際には一般のお客様も購入されている。長距離の移動がなく、買い物などに使うなら、1.0Lエンジンでも十分だ」という。

 以上のようにアクアは、コンパクトなハイブリッド専用車として、さまざまな機能を高めて価格は割安だ。ヤリスは、ハイブリッドについてはアクアに比べて機能が見劣りするが、燃費性能では上まわる。そして価格の割安な1.0Lと1.5Lのノーマルエンジンは、アクアでは得られないヤリスならではの価値だ。

 従ってコンパクトカーを選ぶ時、ハイブリッドならアクアを推奨する。前述の通り機能や装備の割に価格が安く、特に最上級のZは内容を充実させて買い得だ。

 ノーマルエンジンなら必然的にヤリスになる。基本的には動力性能に余裕があって燃費性能も優れる1.5Lを推奨するが、価格を抑えたいなら設計の古い1.0Lでも良いだろう。

 このように両車とも異なる特徴を備えているので、ヤリスは対前年比を減らしながらも、販売面では両立できている。この背景には、トヨタの強力なディーラー網と販売力があることも見逃せない。

【画像ギャラリー】ヤリスを上回る勢いで実質販売台数首位!? 登場以来絶好調のトヨタ アクア(7枚)画像ギャラリー

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