これが超精密販売戦略! アクア爆売れでもヤリスとの同士討ちなぜ起こらない

これが超精密販売戦略! アクア爆売れでもヤリスとの同士討ちなぜ起こらない

 2021年7月の新型登場以来、好調な売れ行きを見せているトヨタ アクア。小型/普通車の販売1位であるヤリスに次いで2位につけている。

 ヤリスは人気を大きく落とすことなく、そしてアクアもヤリスに食われることなく共存できている。同じコンパクトカーのカテゴリでありながら『同士討ち』が起こらない理由を渡辺陽一郎氏が解説する。

文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA

【画像ギャラリー】ヤリスを上回る勢いで実質販売台数首位!? 登場以来絶好調のトヨタ アクア(7枚)画像ギャラリー

■GRヤリスやヤリスクロスを除いたヤリスとアクアを比べると……

2021年7月登場のトヨタ アクア。ヤリスに次ぐ販売台数2位だが、GRヤリスとヤリスクロスを除いて比較した場合の販売台数はヤリスを大きく上回る

 2021年7月に発売されたアクアの売れ行きが好調だ。ノーマルエンジンを用意しないハイブリッド専用車だが、2021年9月の登録台数は1万1137台、10月には7643台に達して、小型/普通車の販売2位になった。

 小型/普通車の販売1位はヤリスだが、この登録台数には、ヤリスのほかにSUVのヤリスクロス、少数ではあるがスポーツモデルのGRヤリスも含まれる。ヤリスクロスとGRヤリスは、一般的にはヤリスとはカテゴリーの異なる車種だろう。

 そこでコンパクトカーのヤリスのみの台数を算出すると、2021年9月は5800台、10月は4980台であった。アクアに比べて大幅に少ない。ヤリスの売れ行きは、アクアの50〜65%に留まる。

 ヤリス(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)の登録台数では、対前年比でも興味深い傾向が見られる。2020年は9月に1万4650台、10月も1万190台を登録したから、2021年9月は前年の40%、10月も49%しか売られていない。ヤリスの売れ行きは前年に比べて半減している。

 その一方でSUVのヤリスクロスは、2021年9月が6370台、10月は5280台だから、ヤリスよりも多い。ヤリスクロスが本格的な販売を開始した2020年10月は、6900台だったから、2021年10月は減少したものの対前年比は77%を保っている。

■ヤリスを上回るアクアの魅力とは

アクア車内。ヤリスに比べて後席の足元に余裕があり、居住性に優れている

 この販売推移からも分かる通り、アクアの販売は好調で、ヤリスの登録台数は大幅に下がっている。ヤリスは、ハイブリッドシステムやプラットフォームなどを共通化したアクアにユーザーを奪われた。その理由は、アクアとヤリスハイブリッドを比べると分かりやすい。

 ボディは両車とも5ナンバーサイズで全幅も1695mmだから等しいが、全長はアクアが4050mmでヤリスは3940mmだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)もアクアが2600mm、ヤリスは2550mmという違いがある。

 そのために居住性はアクアが快適で、特に後席の足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は、ヤリスは握りコブシ1つ少々だが、アクアは2つ弱が収まる。ヤリスの場合、後席に背の高い同乗者が座ると窮屈だが、アクアなら4名で快適に移動できる。

 アクアはヤリスに比べて内装も上質だ。アクアのGやZでは、助手席の前側に装着されるアッパーボックスのフタなどに、合成皮革を巻いている。ヤリスの内装はコンパクトカーの平均水準だが、アクアはミドルサイズカーに近い。

 直列3気筒1.5Lエンジンをベースにしたハイブリッドシステムは、基本的に両車とも共通だ。ウェブサイトやカタログに記載されるエンジンやモーターの性能数値も等しい。

 しかし運転感覚は異なる。ヤリスハイブリッドの駆動用電池はリチウムイオンだが、アクアの売れ筋グレードにはバイポーラ型ニッケル水素を使う(価格が最も安いアクアBはリチウムイオン)。

 バイポーラ型ニッケル水素は電池の性能が高く、例えば巡航中に登り坂に差し掛かってアクセルペダルを踏み増した時など、アクアは駆動力の盛り上がり方が力強い。

 通常のエンジン車でいえば、実用回転域の駆動力が高い印象だ。ヤリスハイブリッドの車両重量(2WD)は1050〜1090kg、アクアは1080〜1130kgと若干重いが、売れ筋グレードで動力性能を比べるとアクアに余裕がある。

 アクアは遮音も入念に行われ、ヤリスハイブリッドに比べてノイズが小さい。ヤリスハイブリッドの場合、登坂路などでは3気筒エンジンの粗い音質が気になることもあるが、アクアは違和感を抑えた。

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