いまや世界的に人気のSUV。2021年は多くの国産SUVが登場し、ヴェゼルやランクル300、カローラクロスなどいずれも大ヒットとなっている。
車高が高く見晴らしがよいのが特長だが、サスペンションストロークが長く、また車重もあるので、運転には独特な癖がある。
そこで今回はSUVのスマートな走らせ方について考えてみよう。
文/斎藤聡、写真/ベストカー編集部
■今の主流は本格派よりも乗用車的SUV
一口にSUVといってもオフロード志向が強めのヘビーデューティなタイプから、タウンユースを中心に据えたオンロード指向のものまで様々です。傾向としては、オンロードユースをメインに据えた都市型SUVが人気で、占める割合も大きくなっています。また、SUVの形はしていますがFFも少なくありません。
“SUVは4WDに限る”という人も一定数いるのですが、駆動方式にこだわりを持たない人も少なくありません。
実際にFFモデルに試乗してみても、意外に走破性が高いことに驚かされたりします。FF車は4WDほどではありませんが、走破性は高いんです。近年進化が著しい電子制御ディバイスのおかげで悪路走破性はさらに上がっています。
そんな近年のSUVですが、全体的な傾向としては、本格的クロカン4WDのようにサスペンションがソフトでたっぷりストロークするクルマは少なくなっています。むしろ乗用車的な比較的短いストロークの、乗用車的な乗り味のクルマが増えています。
かつてクロカン4WDがソフトな足回りを持っていたのは荒れた路面を走るときに、サスペンションの有効ストロークを使って4つのタイヤを路面のしっかり設置させトラクションを作り出すのが目的でした。
現在は電子制御で浮いたタイヤが空転しないようにそのタイヤだけのブレーキを掛けることができるので、本格的なオフロード性能を求めるクルマ以外はサスペンションストロークをそれほど大きくとっていません。
サスペンションストロークを長くとると、ロールやピッチングが大きくなります。大きなボディが大きく傾くと、切り返しの動作が遅くなるし、直進状態からハンドルを切り出した時もまずクルマのロールから起こるので軽快な動きは出せなくなります。
最近のSUVはコンパクトカーやセダンのプラットフォームをベースにしているクルマも多くあって、それほどサスペンションストロークを長くとっていない(取れない)のですが、クルマにかかっている力は同じなんです。
しかも乗用車の重心高よりも高い位置に着座ポイントがありますから、ドライバーやパッセンジャーも乗用車と比べれば前後左右に(ちょっと)強く力がかかるわけです。
ですから運転のコツとしては、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作で前後左右にかかる力を穏やかにしてやるのを意識する事がポイントになります。
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