最新装備満載の力作ながら、買いやすい価格
アルティマは、9代目ブルーバードセダン(U13型)の北米版としてスタートした。2代目からは北米専用モデルとしてボディサイズを大きくしながら成長し、現行型は2018年にニューヨークモーターショーで発表された6代目となる。
日産のアイデンティティであるVモーショングリルをダーククローム仕上げにし、鋭い表情のLEDヘッドライトと組み合わせることで表現力豊かなフロントセクションを構成している。スリムなピラーと流れるようなプレスラインを組み合わせ、スタンスの良さと引き締まったプロポーションを備え、素直にカッコいいデザインだ。
ボディサイズは全長4900mm×全幅1852mm×全高1440mmで、ホイールベースは2824mm(インチからのミリ換算のため、およその数値)。トヨタ「カムリ」と近しいサイズ感だ。
搭載されるエンジンは世界初の量産型2.0L 直4可変圧縮比ターボ「VCターボ」を設定。V6エンジン並の動力性能でありながら、4気筒エンジンならではの低燃費性能、環境性能を実現している。この他に2.5L 直4DOHC直噴ガソリンエンジンも用意した。トランスミッションはエクストロニックCVTだ。
また、米国北部のユーザーニーズに応え、現行モデルでは、アルティマ初の四輪駆動モデルを用意。「インテリジェント4×4」システムを搭載し、道路や走行条件に合わせて前後トルクを自動的に配分する。もちろん、最新のインフォテインメントシステムや安全運転支援システムも搭載し、自動運転技術「プロパイロット」も用意した。
このように、現行アルティマは、かなり力の入った最新のモデルとなっているが、価格は24,550ドル〜(日本円で約279万円〜)と、意外と買いやすい価格。SUV人気に押され気味とはいえ、しっかり売れているのも頷ける。
「国内ではセダンが売れない」と決めつけるべきではない
日本でセダンが売れなくなったのは、「セダン」というクルマの形式が受け入れられなくなった、ということもあるが、クルマを開発し供給する自動車メーカーが、日本のユーザーの嗜好や環境に合わせ、軽自動車やコンパクトカー、ミニバン、SUVの開発に力を入れた、という要素が大きい。
国土が狭い日本は、道路が狭く駐車場も限られる。一家に何台もクルマを持つのが難しいという状況では、合理的なモデルに人気が集まるのは当然なのだが、セダンがSUVに比べて悪いクルマなのかと言われるとそんなことはない。
よほど高さのある荷物を頻繁に出し入れするのでもない限り、セダンのラゲッジスペースに不満はないはずだ。疑問に思う方は、ぜひ一度、セダンに荷物を載せてみてほしい。トランクスルーにすれば、意外なほどの積載能力を発揮してくれる。
また、アルティマがそうであるように、セダンを市場規模の大きい北米に合わせてつくったことで、ボディサイズが大きくなり、日本のユーザーがセダンから離れてしまった、という現状もある。もちろん日本の道路事情に合わせたセダンをつくることもできるが、日本の市場規模を考えるとメリットは少なく、それよりすぐに売れるコンパクトカーやSUVをつくった方が手っ取り早いのだ。
そんな日本市場でも、カムリは、2020年の国内販売台数12,085台と、なかなか売れている。「トヨタのセダンだから乗る」という一定のユーザー層の影響もあるとは思うが、日本で「セダンは売れない、人気ない」と決めつけるべきではなく、クルマが魅力的であればセダンでも売れる余地はあることを示している。
アルティマの姉妹車「ティアナ」同様に、日本では消滅してしまった日産の小型セダン「シルフィ」は、2019年に中国で新型が発表され、2020年には中国国内でもっとも売れたクルマとなるほど、いま中国市場で人気のあるクルマだ。
そのシルフィに、2021年9月、中国でe-POWERモデルが追加された。e-POWERラインアップの拡充を表明している日本市場にも導入される可能性は十分にあり、アルティマ同様、シルフィも相当にカッコイイと日本でも評判が高いので、ユーザーへの訴求力は十分にあると思う。
こんなに世界で人気セダンを販売しているのに、日産の国内ラインアップにはスカイライン、フーガ、シーマしかないというのは寂しすぎる。今後セダンが急に復権するというのは考えにくいが、アルティマやシルフィのような、海外で活躍している日産のカッコいいセダンは、現地販売のみならず、日本に導入すれば日本における日産のイメージを一新させ、国内販売においても、日産を救ってくれるのでは?? と考える。
【画像ギャラリー】かっこよすぎ!! ぜひ日本にも導入を!! 海外で人気の日産セダン「アルティマ」 「シルフィ」(37枚)画像ギャラリー
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