いま、三菱車のなかで最も売れている「デリカD:5」。2019年は2万95台、2020年は1万1157台、2021年は10月までに1万3419台と、最安モデルであっても391万円と高額でありながら、販売は好調だ。
デリカD:5が登場したのは2007年のこと。2.4リッターと2.0リッターのガソリン仕様、そしてのちに追加された2.2リッターのクリーンディーゼルターボ仕様があったが、2019年10月にガソリンモデルが生産終了、現在は、ディーゼル1本のみとなっている。
唯一無二の存在であるD:5、その人気には、5つの理由が考えられる。
文/吉川賢一、写真/MITSUBISHI
■現代風のオラオラ系フェイスに変化した現行D:5
デリカD:5は、ミニバンの常識を超える悪路走破性や安全性能の高さで支持されていた三菱の名車「デリカ」が築いてきた長所を引き継ぎ、「オフロード系ミニバン」として独自のポジションを得ているクルマだ。
4800×1795×1875(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2850mm、最低地上高は185mm。車幅のわりに背が高く、ハコ型ミニバンの中でも独特なスタイリングをしている。7人乗りと8人乗りがあり、全車4WDだ。
排気量2,267cc、圧縮比14.4のディーゼルターボエンジンは、最高出力107kW(145ps)/3500rpm、最大トルク380Nm/2000rpmを発生。あらゆるエンジン回転時でも、常にトルクフルな力強い走りと、高い環境性能を実現。念入りな遮音対策が行われていることで、室内の静粛性も高い。
かつて存在したガソリン仕様は250万円を切っていたが、現行モデルは、標準仕様が391万円~438万円、アーバンギアが414万円~448万円と、かなりの高額車だ。
■良いところ1:個性的なエクステリアデザイン
2019年2月のビッグマイナーチェンジで、以前のファニーなフェイスから、オラオラ系フェイスへ進化。
大型メッキグリルのあるワイドバンパー、縦型のマルチLEDヘッドランプなどによって、オラオラ系ミニバン代表のアルファードやヴェルファイアにも負けない、戦闘力のあるフロントフェイスへと生まれ変わった。
「ダイナミックシールド」と呼ぶ三菱のデザインコンセプトは、かなりクセが強く、好き嫌いがはっきりと分かれる形状だが、見慣れてくるとカッコ良く見えてくるから不思議だ。特に、デリカD:5にはよくマッチしている。
また、7/8人乗りのミニバンなのに、堅牢感がハンパなく高く、マッドテレーンタイヤを装着して、上げ系のカスタムを施した姿が、実に似合う。
13.5万円ほどのコンプリートパッケージが用意されている特別グレード「ジャスパー」には、専用の真っ赤な専用マッドフラップが備わる。かつてパジェロやランエボで一斉風靡した、オフロード走行を彷彿とさせるスタイリングは、その手のクルマが好きなユーザーには堪らないものだ。
ミニバン界は近年、アルファード、ヴェルファイアが市場を席巻しているが、そんななかでもD:5が販売台数を伸ばしているのには、この癖の強いデザインが支持されている、ということがあるだろう。
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