スズキ新型SUV「S-CROSS」への期待と秘かに進むHV戦略の行方

スズキ新型SUV「S-CROSS」への期待と秘かに進むHV戦略の行方

 2021年11月25日、スズキは新型クロスオーバー車「S-CROSS」を世界初公開した。この新型「S-CROSS」は、2020年まで日本でも販売されていた「SX4 S-CROSS」のフルモデルチェンジモデル版であり、2021年末より欧州で販売を開始するとのこと。その後、オセアニア、アジアで販売するとしているが、残念ながら日本市場への導入については発表されていない。

 また、このリリースのなかでは、スズキの未来戦略に関する内容も含まれていた。これまで、マイルドハイブリッドモデルが多かったスズキ車だが、「2022年よりストロングハイブリッドモデルのラインアップを強化する」としており、今回の新型S-CROSSについても、2022年後半には、ストロングハイブリッドモデルを用意する、とのことだ。さらにはコネクティッドサービスについても、導入を計画している、とのこと。

 新時代のスズキ車として、先陣をきることになるとおもわれる、新型S-CROSS。新型S-CROSSの詳細についてお伝えしていくとともに、これまでマイルドハイブリッドが多かったスズキが、このタイミングでストロングハイブリッドを強化する理由について、考察しよう。

文:吉川賢一
写真:SUZUKI、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】日本ではイマイチも、欧州では好評!! 新型S-CROSSと、その先代モデル「SX4 S-CROSS」(23枚)画像ギャラリー

日本ではいまいちだったが、グローバルでは成功した先代

 新型S-CROSSの前に、先代である「SX4 S-CROSS」をざっと確認しておこう。2015年2月に日本市場に登場したSX4 S-CROSSは、全長4300mm×全幅1765mm×全高1575mm、ホイールベースは2600mmのコンパクトクロスオーバーSUVだ。日産キックス(4290×1760×1610)と近しいサイズ感で、コンパクトさが求められる日本市場で、ちょうどよいサイズだった。

 1.6LガソリンNAエンジンと6速AT(導入時はCVT)の組み合わせで、FFもしくは「ALLGRIP」と呼ぶ4WDシステムとなる。ハンガリーにある工場で生産していたため日本へは「輸入」されていたが、価格はリーズナブルといえる範囲に収められており(FFが214万円、4WDは235万円)、デザインも悪くはなかったので、もうちょっと売れてもよかったと思うが、残念ながら販売は振るわず。2020年内にひっそりとカタログ落ちした。

 とはいえ、「SX4 S-CROSS」は、スズキの世界戦略車であり、グローバルで見れば、メイン市場である欧州を中心に好評を得ている。今回の新型も、首を長くして待っているユーザーは多くいるだろう。

低く構えた面持ちで、全体的にもスタイリッシュなデザインでまとまっていた、国内向けの先代S-CROSS。1.6LガソリンNAエンジンと6速AT(導入時はCVT)の組み合わせであった

欧州の香りがするスタイリング

 新型S-CROSSのボディサイズは、全長4300mm×全幅1785mm×全高1585mm。先代と比較して、20mmほどワイドとなった以外は、ほぼキープしてきた。ホイールベースは2600mmだ。エンジンは1.4Lの直噴ターボエンジン、欧州仕様車は、全車48Vマイルドハイブリッドとなっている。

 エクステリアは、どことなく欧州の香りがする仕上がりだ。バッヂを隠して「プジョーかシトロエンの新型SUV」と言われれば、信じてしまうかもしれない。昨今の流行を取り入れた、ボンネット前端が高いボクシーなSUVスタイルで、これまた流行の大開口サンルーフも採用している。フロントの大型グリルや3灯式のLEDポジションランプも高い位置に配置したことで、フロントノーズの威圧感が出ている。

 インテリアには、インパネ中央に9インチサイズの大型HDディスプレイオーディオを搭載。スマートフォンとの連携のほか、車両情報の表示、カメラ映像の表示、といった運転支援機能も備えた。

 もちろん、先進運転支援技術(衝突被害軽減ブレーキ、標識認識機能、車線逸脱抑制機能、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール、全方位モニターなど)も採用しており、安全機能にも抜かりはない。

世界初公開の新型S-CROSS。1.4リッター直噴ターボエンジンの最高出力は95kW/5500rpm(モーター:10.0kW)、最大トルクは235Nm/2000-3000rpm(モーター:50Nm)というスペックで、現時点はマイルドハイブリッドのみとなる

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