■「誰が乗ってもバカッ速」なモデルへ進化したR33型
R33型スカイラインGT-Rの標準車とVスペックの違いは、VスペックにはリアデフにアクティブLSDを採用し、これに合わせて4WDシステムにアテーサE-TSプロを採用していること。
当時、筆者は社用車のR32型スカイラインGT-R VスペックIIを運転することが多かったが、R33型スカイラインGT-Rの走りはロングホイールベースを感じさせない旋回性能そして走行安定性の高さが強く印象に残っている。
特にVスペックはハイスピードのコーナリングの際に、アクセルを踏めば踏むほど曲がっていった。
運転していると、国産スポーツカーユーザーに絡まれることが多かったが、自分ではそれほど速度が出ていないはずなのに、コーナーで見えなくなってしまう。なんてことが多かった。
つまりR32型スカイラインGT-Rはドライバーのスキルによって速さの変わる幅は大きかったが、R33型はドライバーのスキルに関係なく、バカッ速なモデルだった。
もちろん、ロングホイールベースの恩恵は直視な安定性にも大きく貢献し、ロングドライブを行っても疲労感はR32型とはまったく違っていた。
個人的には第2世代GT-Rの中ではR33型の印象は良く、まだ中古車雑誌の編集部に在籍した当時はNISMOとの20周年コラボ企画で世界に1台だけの中古車をベースとしたコンプリートカーを製作した。
万が一、売れなければ自分が買い取るという話だったが、無事に新しいオーナーの元へと旅立っていったが、いま思えば自分が買っておくべきだったかもと後悔している。
R33型スカイラインGT-Rのキャッチコピーは「マイナス21秒のロマン」これはドイツのニュルブルクリンクでのタイムがR32型よりR33型が21秒速かったことが由来している。
■開発担当者 渡邉衡三氏に話を聞く
当時のことを開発担当者だった渡邉衡三氏に話を聞くと、
「ニュルブルクリンクへテストに行って、R32型は8分20秒ぐらいで走っていたけれど、R33型はどうなのだと当時の商品本部長に言われました。
そこで私は、計算すれば8分2秒ぐらいですかねと言ったら。お前バカか、本当に技術屋は頭が硬いと言われましたよ。その世代替わりということがどれくらいのインパクトがわかっているのかと。4万200円と3万9800円その差は400円しかない、しかしインパクトはどうなのだといわれたので、それは3万9800円ですよねと返事しました。ホレ見ろ。そしてもっとがんばれと。
8分を切れないとは言えないけれど、やってみてダメだったら謝ればいいやと開き直って、まぁ、3人が計測してスタートは遅く、ゴールは早押しだったかもしれませんけれど、7分59秒だったということでマイナス21秒という言葉が生まれました。僕はこれで日本に帰れるなと正直思いましたよ」
と当時の裏話を話してくれた。
そして、R33型スカイラインGT-Rで忘れてはならないのはル・マン24時間耐久レースへの参戦だ。
渡邉氏は
「R32型GT-Rは豪州やスパで勝っているけれど、ル・マンには参戦していない。水野君(水野和敏氏)と一生懸命考えて、ハコのクルマの中ならば、どうにかなるかなということになって参戦したのです。
ポルシェ904との戦いから始まって、スカイラインGT-Rというのはハコで速いというのが良く言われていますけど、それが本来の役割だと思っています。
だからル・マンでもハコで戦おうと思ったし、ル・マンに出したおかげで、ル・マン参戦記念車といってボディカラーで商売するということを教えてももらいました」
と振り返ってくれた。
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