意気込みは“半端ない”のになぜ? 空回りした意欲車 4選

意気込みは“半端ない”のになぜ? 空回りした意欲車 4選

 2018年も後半に突入。ここまでクラウンやフォレスター、そして7月にはジムニーがフルモデルチェンジを行うなど、注目の新車が数多く登場している。そうしたなか、今年に入り、2月にひっそりと大規模マイナーチェンジを行ったのがホンダ レジェンドだ。

 ホンダのフラッグシップセダンである同車だが、2018年6月の月販台数は117台。それでも前年同月比は292.5%、2017年6月の販売台数は僅か40台であった。しかし、レジェンドは、ただ売れていないだけの車ではない。メカニズムは実に独創的で、見るべき点も多分にある。

 このように、全体としてみると成功を収められなかったモデルながら、独創的な技術や「いま改めて見ても魅力的なコンセプト」を採用していた車は多い。“偉大な失敗作”たちは、なぜ空回りしてしまったのか?

文:片岡英明
写真:編集部、HONDA、SUBARU


技術は凄いレジェンド、なぜ敬遠される?

ホンダ レジェンド(5代目、2015年~)。2018年6月販売台数:117台、2018年1-6月販売台数:660台、2017年1-12月販売台数:405台

 ホンダのセダン系フラッグシップといえばレジェンドだ。

 誕生したのは1985年で、ホンダ初のV型6気筒エンジン搭載車だった。ホンダが苦手とする富裕層に向けた革新的なプレミアムセダンで、バブル期には月に1500台レベルの販売を記録している。

 海外では「アキュラ」の最高峰セダンと位置付けられ、北米を中心に安定して売れたが、リーマンショック以降、日本では販売が激減。2012年に販売を休止している。

 復活の狼煙をあげるのは2014年秋だ。2015年2月、ハイブリッド専用モデルとして5代目レジェンドが登場している。

 メカニズムは凄い。3モーターのスポーツハイブリッドシステムを採用し、駆動方式は電気式4WDのSH-AWDとした。また、高性能版のホンダセンシングも採用する。ホンダらしい、革新メカ満載の意欲作だ。

 が、2018年1月から6月までの販売台数は660台と、売れていない。売れ行き不振の理由は、富裕層に知られていないことだ。特に主婦層への認知度はゼロに等しい。

 また、高級車としてのオーラがなく、デザインも奇天烈だ。高級車としては、後席の居心地や乗り心地に物足りなさを感じるのも弱点である。

 だから、メカニズムの凄さを認めながらも敬遠してしまうのだ。

今見ても魅力的! 小さな高級車プログレはなぜ失敗?

トヨタ プログレ(1998~2007年)。全長×全幅×全高:4500×1700×1435mm、1998年当時の販売価格は350万円(NC300)

 1998年5月、「小さな高級車」のコンセプトを掲げて鮮烈なデビューを飾ったのがプログレだ。

 扱いやすい5ナンバーの小型車サイズに、クラウンの高級感と上質な走りを凝縮させた新感覚のプレミアムセダンだった。

 全長は4.5mをちょっと超えるサイズだし、後輪駆動だから取り回しもしやすく、ハンドリングも軽快だ。

 搭載するのは、滑らかさと静粛性が際立つ2.5Lと3Lの直列6気筒エンジンである。また、インテリアも本木目パネルやレザーシートを用意するなど、贅を尽くした。

 このプログレに続き、トヨタはスポーティ感覚を加味したブレビスとラテン的な香りのスポーツセダン、ヴェロッサを発売している。

 ヴェロッサは刺激的な加速を楽しめるターボ搭載車も設定した。また、FRスポーツセダンのアルテッツァも遠い親戚と言えなくもない。

 狙いはよかったが、3車の販売は低迷する。最初はまずまずの売れ行きだったが、すぐに落ち込んだ。

 それはそうだろう。価格はマークIIより高く、兄貴分のクラウンと大差なかったから、積極的に選ぶ人は少なかった。

 プログレの登場によってマークIIの割安感が際立っている。当然、こだわりの強い人以外は、押しが強く、ガレージに置いて絵になるマークIIとクラウンに流れた。意気込みはよかったのに……。

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