アメ車? 日本車?? 謎多き広島製「日本フォード」の車種を振り返る

■レーザー

ファミリアの面影を強く残す初代レーザー。ファミリアと同じくターボモデルも追加されている
ファミリアの面影を強く残す初代レーザー。ファミリアと同じくターボモデルも追加されている

 1982年に日本での販売がスタートしたレーザーは、4代目ファミリアがベースとなり、3ドア&5ドアのハッチバックと4ドアセダンというラインナップ。2代目モデルまではファミリアの面影を残すスタイルとなっていたが、3代目になると、2ドアクーペと呼ばれたレーザー専用のボディを設定した。

 また4代目では、ファミリアNEOをベースとした3ドアハッチバックモデルにアクの強い丸目ヘッドライトを採用して更なる差別化。ファミリアNEO自体は不評で1996年のマイナーチェンジ時に一般的な3ドアハッチバックに改められたが、レーザーはNEOのボディのまま最後まで販売が続けられた。

 そして1998年には最後のファミリアがベースとなった5代目にフルモデルチェンジ。ここで「レーザー・リデア」とサブネームが付けられ、セダンとワゴンの2タイプのラインナップとなったが、ベースのファミリアより早い2000年春に姿を消している。

■テルスター

 レーザーとともにオートラマのデビューと共にリリースされたテルスターは、当時のカペラ(4代目)がベースとなっており、第3回の日本カー・オブ・ザ・イヤーではカペラと共にイヤーカーに選出されている。

 1991年に登場した3代目モデルではベースのカペラが消滅したため、後継車種のクロノスがペースとなって3ナンバーボディとなった。

 クロノスには5ドアハッチバックが設定されていなかったが、テルスター伝統の「TX5」と呼ばれる5ドアハッチバックは継続設定。結局このボディは翌月発売されたアンフィニMS-6に流用されている。

 当のクロノスは3ナンバー化したことが災いして販売が低迷したため、1994年に5ナンバーサイズのカペラが復活。

 テルスターもそれに倣ってフルモデルチェンジを果たすが、テルスターのキャラクターには3ナンバーボディが合っていたのか、新型カペラに伝統の5ドアがなかったからか、旧型も併売されたため、この代に限り「テルスターII」として販売された。

 1997年には再びカペラがフルモデルチェンジを果たしたことで5代目へとなり、車名もテルスターへと戻されている。この代でも5ドアハッチバックは存在しなかったが、引き続きカペラワゴンをテルスターワゴンとして販売することで、最後まで5ドア車をラインナップするという伝統を守り続けたのだった。

■スペクトロン/フリーダ/イクシオン

ボンゴワゴンベースのスペクトロン。ちなみにボンゴバンはJ80、ボンゴブローニイバンはJ100として販売されていた
ボンゴワゴンベースのスペクトロン。ちなみにボンゴバンはJ80、ボンゴブローニイバンはJ100として販売されていた

 多人数乗車を可能とするワンボックス&ミニバンもしっかり日本フォードとしてラインナップ。まず1983年に登場したスペクトロンは、3代目ボンゴワゴンをベースとしたもの。乗用車シリーズほどエクステリアに差異はなかったが、それが逆に輸入車らしさを醸し出していた。

 そして1995年にはセミキャブオーバータイプのボディを持つボンゴフレンディをベースとしたフリーダが登場。ボンゴフレンディにも採用されていたポップアップルーフの「オートフリートップ」はフリーダでも人気の装備となっていた。

 そして最後の日本フォード車として1999年5月にリリースされたのが、コンパクトミニバンの初代プレマシーをベースとしたイクシオンだ。

 基本的なデザインはプレマシーのままであるが、フロントバンパー全部までをカバーする樹脂モールやシンプルなデザインとなったテールランプなどで欧州フォード感を醸し出していたが、わずか3年ほどで日本フォードの終焉と共に姿を消すこととなっている。

 結局、日本フォード車は段階的に輸入フォード車に置き換えられるようになってラインナップから姿を消し、2003年にはフォード店の取り扱い全車が輸入フォード車となっていった。

 その後もマツダとフォードの関係は続いていたが、2015年までにフォードが所有するマツダの株式を全て売却。これによって1979年から続いた資本提携も解消され、日本フォード車は全て過去のものとなったのである。

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