エディックス エスティマ…今なら売れそう? ぜひ復活してほしい生産終了車

■スタイリッシュミニバンとしての強い存在感──トヨタ エスティマ(1990年5月~2019年12月生産終了)

初代エスティマが画期的といえたのは、キャブオーバーのコンセプトから抜け出したことにあり、ニックネームの“天才タマゴ”の起源といえるワンモーションフォルムは、プラットフォームが他のFWD方式を採るミニバンと共有化されても、スタイリングのイメージとして残され続けた
初代エスティマが画期的といえたのは、キャブオーバーのコンセプトから抜け出したことにあり、ニックネームの“天才タマゴ”の起源といえるワンモーションフォルムは、プラットフォームが他のFWD方式を採るミニバンと共有化されても、スタイリングのイメージとして残され続けた
トヨタ エスティマ(3代目)…ボディサイズ:全長×全幅×全高:4820×1810×1760mm、ホイールベース:2950mm
トヨタ エスティマ(3代目)…ボディサイズ:全長×全幅×全高:4820×1810×1760mm、ホイールベース:2950mm

 日本市場では1990年5月に誕生して以来、30年近い長寿モデルとなったエスティマは、初代から受け継がれ続けた“ワンモーションフォルム”を備えた(ホンダ勢のどちらかといえば直線的な仕立てとは対照的)スタイリングが強い印象が残っている(主要なマーケットである米国市場ではプレヴィアと呼ばれた)。

 初代が登場した当時、定番といえた商用車ベースのワンボックスワゴンに対して、エスティマは「ミッドシップワゴン」と呼ばれるコンセプトを採用した。

 ボディ中央の床下に横に75度傾けて設置されたエンジン(冷却ファンやオルタネーターなどの補機類はフロント部に分離してシャフト駆動)によって後輪を駆動する独特なパワートレーンを構成された。

 その外観と独自のMRレイアウトにヒントを得た「天才タマゴ」のニックネームは的を射ていた。なにしろ日本市場では「ミニバン」という呼び名そのものが存在しなかった時代の話だった。

3代目エスティマの7人乗りモデルは2列目がキャプテンシートでロングスライドも可能だったことから、タクシーとしての需要もあった
3代目エスティマの7人乗りモデルは2列目がキャプテンシートでロングスライドも可能だったことから、タクシーとしての需要もあった

 2000年1月に登場した2代目は汎用性をもたずコストのかかった独自のプラットフォームから海外向けの中小型車用プラットフォームに統合され、初代のスタイリングのイメージを可能な限り受け継ぎつつFWD化されることになった。

 発表から約1年を経た2001年にハイブリッドモデルを追加、2006年1月にフルモデルチェンジを受けて3代目となったエスティマはマイナーチェンジを繰り返しながら、一代で約13年もラインナップされ続けた後に2019年10月には生産終了が発表された。

 噂によれば、EV(電気自動車)で復活するという話もあるようで、是非とも初代のような大胆なコンセプトを実現して、再び姿を現すことを期待したい。

■センターピラーレスの有効性──トヨタ アイシス(2004年9月~2018年1月生産終了)

トヨタ アイシスのボディサイズ:全長×全幅×全高:4635×1695×1640mm、ホイールベース:2785mm
トヨタ アイシスのボディサイズ:全長×全幅×全高:4635×1695×1640mm、ホイールベース:2785mm

 トヨタアイシスはミドルクラス(というよりは5ナンバーサイズの)のミニバンとして、基本的な機能、使い勝手の良さを備え、確実に販売台数が稼げるモデルだったはずだが、それぞれのメーカーの都合で居場所を失ってしまったようにさえ思えてしまう。

 たとえば、トヨタのアルファード&ヴェルファイアといった大型ミニバンへのマーケットの移行や小型クロスオーバーSUVの台頭のなかで、シビアな販売戦略の影響を受けた被害者といえるかもしれず、ミニバンブームの火付け役といえるオデッセイさえもトレンドには逆らえず、力尽きてしまったといった印象が拭えない。

 話がそれたが2004年9月に発売されたアイシスのスペックを辿っておくと、ウィッシュやノア&ヴォクシーと共通する、前後を組み替え可能なFWD用プラットフォームを採用。パワートレーンとして、2Lガソリン直噴直列4気筒+CVTと1.8L直列4気筒+4速ATを設定した。

 基本的にFWD用プラットフォームを共有しつつも、前ヒンジ式後部ドアを備える身内のライバルするウィッシュ(ミニバンとしてのライバルは、“ほぼ同スペック”のホンダストリームだった)に対して、中型ミニバンとしてボディの助手席(左)側のセンターピラーレス・ボディを実現したことが大きな特徴といえ、開口部幅は1890mmに達していた。

 助手席側センターピラーレス構造は、コンパクトな軽自動車ではボディへの負荷や衝突安全性能をカバーできるためか採用が進んでおり、ダイハツタントは「ミラクルオープンドア」として、ホンダ N-VANでも「ドアインピラー構造」と呼んで採用している。

ミドルクラスミニバンとして登録車唯一だった助手席側センターピラーレス構造を採る「パノラマオープンドア」を与えられたアイシス(ネーミングの“政治的”な問題はメーカーやモデルの責任ではない)。トヨタ傘下の関東自動車工業・東富士工場で生産された
ミドルクラスミニバンとして登録車唯一だった助手席側センターピラーレス構造を採る「パノラマオープンドア」を与えられたアイシス(ネーミングの“政治的”な問題はメーカーやモデルの責任ではない)。トヨタ傘下の関東自動車工業・東富士工場で生産された

 アイシスが派手なスタイリングはもたずとも、真っ当な使いやすさを備えていたことを考えれば、2020年末に生産を終了した当時の関東自動車工業東富士工場との絡みなどがあったのではないかと想像してしまう。

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