■マツダ ボンゴバン(4代目:1999年6月~2020年5月自主生産終了)
現在では5代目としてトヨタのライトエースとライトエースのOEM供給車(インドネシア製)となった、マツダ・ボンゴバンだ。
貴重なマツダ自社製のワンボックス商用車だったボンゴ(バンは2020年5月、トラックも同年8月に生産終了)の歴史を大まかに辿ると、初代が登場したのは1966年。
1977年にモデルチェンジした2代目からは駆動方式をリアエンジンリアドライブ方式からキャブオーバー方式に変更。後輪にはその後にボンゴの特徴といえる装備となった、12インチ仕様の小径の“ダブルタイヤ”を装着。
荷台や荷室/客室をホイールハウスを省いてフラット化させて、使い勝手を向上させた。
3代目(1983~99年)に続き、最後の自社生産モデルとなった4代目(1999年6月発表から2020年5月まで生産)は、プラットフォームの改良を受けて衝突安全対応のために前部に大型バンパー装着などの“後付け”の変更が施された。
ちなみに、2016年2月のマイナーチェンジの際には、ボンゴの特徴といえた“ダブルタイヤ”も廃止となった。2~2.2L直列4気筒ディーゼルも設定されていたが、最終的には1.8Lガソリン直列4気筒のみの設定となってラインナップを縮小していった。
加えておくと、2016年はマツダにとって経営戦略上、大きな節目となった。
当時ラインナップされていたプレマシー、ビアンテ、MPV(2016年4月までで生産終了)のミニバンは、マツダのミニバン市場の撤退決定を受けて生産が終了、その後はクロスオーバー的なコンセプトとしての「魂動」デザインを施されたSUVにラインナップを特化することになった。
どこかマツダの魂とも思えたボンゴだが、トヨタからのOEM供給車となってはさすがにかつてのような印象はなくなってしまった。
願わくは、かつてのマツダ車にあった良い意味での身近な「生活感」と最新のオリジナル「デザイン」が融合したミニバンが復活してほしい。
■番外編:成功し切れなかった名跡──ホンダ シャトル(2022年内に生産終了予定)
最後に、今年中に生産終了予定のシャトルもかなり惜しいと思っているので紹介しておきたい。
ホンダは2021年12月上旬に開催した販売店向けの「ホンダビジネスミーティング」において、CR-V、インサイト、シャトルの3車種を2022年度に順次生産終了すると表明した(現時点で生産終了の正確な時期は不明)。
コンパクトなステーションワゴンであるシャトルはその名が郷愁を誘うこともあって、シビックシャトル、フィットシャトルと続き、コンパクトミニバンとして独立したネーミングを与えられたシャトル(2015年5月発売)。
パワートレーンはフィットをベースとして、1.5L直列4気筒DOHC i-VTECに、ハイブリッド仕様では7段DCTのi-DCD Intelligent Dual Clutch Drive(インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ)を採用。標準仕様はアトキンソンサイクル式直噴1.5L直列4気筒+CVTとしていた。
フィットと同じく“センタータンクレイアウト”を採るプラットフォームを採用して、マーケットで稀少になった5ナンバーサイズのミニバンであるシャトルには、存在意義があったはず。
いまさらながらライバルのノア&ヴォクシーでは全幅が1735mmと3ナンバー化したことを考えれば、使い勝手のうえで充分な利点があるようで「どうして廃止?」と思わざるをえない。
会社の事情(生産拠点やパワートレーンなど)で効率化が図られたとすれば残念な話ではないだろうか。
【画像ギャラリー】画期的な機能がズラリ! 偉大な生産終了ミニバンを画像でチェック!(18枚)画像ギャラリー
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