朝ドラで登場し話題沸騰の嵐電
現在放送中のNHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でも川栄季奈さん演じる大月ひなたが嵐電に乗っているシーンが話題となった。
京福電鉄の全面協力のもと撮影されたということだが、映像を確認すると、回転焼き大月、つまりひなたの家は北野白梅町付近で、北野線に乗って就職先である映画村に近い(作品中では条映映画村)撮影所前駅で下車するというもの。北野線は撮影所前駅の次、帷子ノ辻駅で嵐山本線に合流する。
1980年代が舞台なのに、嵐電の車窓を並走する現行プリウスが映っていたり、太秦広隆寺~帷子ノ辻駅間にある右京警察署に駐車している210系クラウンパトカーが2台映っているなど、思わずアレっ? となってしまう場面もあったが、そんなことはご愛嬌である。
ひなたが本郷奏多さん演じる五十嵐文四郎と嵐電に乗って映画を観に行くシーンがあるが、四条大宮駅付近にかつて存在した「大宮東映劇場」ではないかという地元ファンの推測が多数あり、沿線民を沸かせている。「いつも通勤で乗っている嵐電がドラマに登場して嬉しい。」、「学生時代に住んでいた頃を思い出して懐かしい気持ちになった。」など地元から愛されている様子がツイッター上などからわかった。
ドラマに登場した路面電車は、モボ301形電車の301号車である。嵐電の旧塗装色である緑色とクリーム色のツートンカラーが印象的だ。嵐電は現在、通常の塗装は京紫色のボディーカラーの車両が大半を占めている。ちなみに301号車は、定期運行はされていないが、他の車両の整備などに伴い登場することもあるという。ドラマの影響で京福電鉄への問い合わせが増え、実際にあの車両に乗りたいという声がかなりあるのだという。出会えたらかなりラッキーかもしれない。
嵐電の併用軌道はどのあたり? 一風変わった踏切も
嵐電も路面電車なので併用軌道の区間があるが、北野線は専用軌道のみである。一方の嵐山線は太秦広隆寺のあたりで70mほど併用軌道となるが、本格的な併用軌道の始点は蚕ノ杜から嵐電天神川の区間である。このあたりになると、軌道敷内通行可の標識も目にすることができる。
そして少しの間、再び専用軌道を走るが、山ノ内駅の手前に差し掛かると「ここからしばらく、道路上を走ります。急停車することもありますので~」と、併用軌道を走行する注意喚起の自動アナウンスが車内放送される。西大路三条まで併用軌道が続き、そこから先は再び専用軌道となり、西院~四条大宮まで向かう。
西院駅の横を通る踏切は片側2車線で交通量も多いが、なんと遮断棒がないのだ。その代わりに踏切信号が存在し、信号に従って車両や歩行者は横断することになる。そして特筆すべきが列車の通過を信号機とともに知らせる『電鐘式』の踏切警音器だ。2022年の今になっても未だに電子音ではない、ホンモノの鐘の音が鳴る踏切なのである。このような電鐘式の踏切が残っているところは全国でも数が少なく、またここまでの大規模都市でその音を堪能できる場所はそうない。“カンカンカン”と打鐘ならではの音が懐かしい。
本格的な桜のシーズンを迎える京都。嵐電沿線も桜の名所が多いので、ご旅行の際には嵐電に乗られてあちこち見物されてみてはいかがだろうか。
【画像ギャラリー】朝ドラヒロイン、ひなたの暮らす京都の街を走る路面電車「嵐電」の風景(10枚)画像ギャラリー
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