■1939年に設立された伝統ある「殿堂」にトヨタ創業者が選出
トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏が、2018年の米国自動車殿堂に選出された。同年7月19日に米国デトロイトで開催された授賞式には内山田竹志会長らが出席した。
米国自動車殿堂は、アメリカミシガン州・ディアフィールド(デトロイト近郊)にある自動車と自動車産業に関する殿堂で、毎年自動車産業に大きな貢献のあった人物を選出し、殿堂入りと認定している。
歴代の殿堂入り受賞者はヘンリー・フォードやウォルター・クライスラー、トーマス・エジソン、フェルディナンド・ポルシェなど錚々たるメンバーで、日本人ではこれまで本田宗一郎氏、石橋正二郎氏、梁瀬次郎氏などが選出。トヨタ自動車からも豊田英二氏、豊田章一郎氏が受賞している。
これまで受賞したメンバーを考えると今回の豊田喜一郎氏の受賞は「遅かったのでは」という印象があるが、とはいえ自動車の本場であるアメリカで、トヨタの創業者である喜一郎氏が評価されたということは、トヨタがこれまで積み上げてきた、アメリカに工場を作り、アメリカで販売して、アメリカ人の雇用を生み出し、アメリカ人が購入して、アメリカ自動車産業に貢献してきたという事業そのものが改めて評価されたともいえる。そういった点を考えると、今回の受賞にも特別な意味が見えてくる。
また8月6日にはトヨタ自動車事務本館ホール(豊田市トヨタ町1番地)にて記念式典を実施。
喜一郎氏の孫にあたる豊田章男社長は以下のようにコメントした。
「喜一郎は57歳という若さでなくなりましたので、私は直接会ったことはございませんが、今回の受賞にあたっても、『米国自動車殿堂にも、みんなで入るのだ。自分は代表して名前があるだけだ』と言ったのではないかと思います。
私は、喜一郎とその仲間の方々について考えるとき、必ず思うことが二つあります。一つは、創業期を支えてこられた先人の方々のおかげで今のトヨタがあるという感謝の気持ちです。
もう一つは、それにも関わらず、先人の方々は、良いところをほとんど見ていないという無念の想いです。それだけに、憧れた米国の地で、自動車殿堂入りという形で、先人の方々の努力と挑戦の日々が報われたことを、自分のこと以上に嬉しく思います。
先人の方々が、日本の未来のために、当時は不可能と言われたクルマづくりに挑戦してくださったからこそ、今の私たちがあります。そのタスキを受け継いだ私たちがリスク、リスクと言って、何も挑戦せずに安全なことだけをしていたのでは、先人の方々にも、次世代の人たちにも申し訳がたちません。
未来のモビリティ社会をもっと楽しく、もっと豊かなものにするために、私自身が先頭に立って闘い続けてまいります。そして、『自分のためではなく、社会のため、次世代の笑顔のために闘う』という創業の原点を、若い人たちにしっかりと継承してまいります」
以下、トヨタが作成した喜一郎氏の紹介ビデオ。懐かしの『プロジェクトX』のようで、なかなか見応えがある。
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