プリウスは今も堅調な売り上げも、販売台数下落のワケはライバル出現が最大の要因!
プリウスの売れ行きが下がった背景には、近年になって、トヨタのハイブリッドモデルが増えた事情もある。2010年頃は今と異なり、アクア、カローラシリーズのハイブリッド、シエンタやヴォクシー&ノアのハイブリッドは用意されていなかった。その代わりSAIやエスティマハイブリッドを選べたが、「ハイブリッドといえばプリウス」という老舗の強い説得力が伴っていた。
直近となる2022年2月(単月)におけるトヨタのハイブリッド車の登録台数を見ると、最も多いのはライズeスマートハイブリッドで5300台だ。次がカローラクロスハイブリッドの5000台、ヤリスクロスハイブリッドは3600台とSUVが続き、プリウスは3300台になる(その内の300台がPHV)。これに続くカローラツーリングハイブリッドは2000台だ。
このようにプリウスの売れ行きは、以前に比べて大幅に下がった。同じトヨタに、コンパクトからミドルサイズのハイブリッドが増えた結果だが、それでもプリウスは1か月に3000~4000台は安定的に売られている。
プリウスの歴史は伊達じゃない! ブランド力はクラウン・ランクル以上か!?
トヨタにさまざまなハイブリッドが用意される中で、プリウスはどのようなユーザーが購入しているのか。販売店に尋ねると以下のように返答された。
「プリウスのボディタイプは、正確には5ドアハッチバックだが、お客様はセダンと同様に認識されている。ミニバンやSUVに興味のないお客様、あるいは仕事に使う法人を含めてフォーマルな雰囲気を重視するお客様は、プリウスを選ぶことが多い。カローラクロスやカローラツーリングは、やはり遊びの要素が強まるからだ。またプリウスは歴史が長く、20年近くにわたり乗り継いでいるお客様も少なくない」。
このようにプリウスは、ファミリー指向や遊び感覚を抑えて仕事にも使いやすいから、幅広いユーザーの間で人気を高めた。
また別のトヨタの販売店からは、外観に関する話も聞けた。「2代目以降のプリウスは、外観に特徴がある。天井を後方に向けて下降させたデザインは、遠方から見ても、ハイブリッド専用車のプリウスと分かる。そのために環境対応に力を入れる企業は、社用車としてプリウスを使われることが多い」。
確かに取引先の企業へ出かけた時に、「御社は社用車もハイブリッドのプリウスなんですね」と気付いてもらえれば、企業のイメージアップに繋がるだろう。その点で、プリウスとアクア以外では、ハイブリッドであることが分かりにくい。
つまりハイブリッドであることを周囲にアピールしやすいことは、プリウスにとって大切なメリットになるわけだ。
プリウスの魅力はやっぱり燃費! 実用性の高さもピカイチ
ボディサイズの割に、燃費性能が優れていることもプリウスの特徴だ。プリウスSは、全長がカローラツーリングハイブリッドSよりも80mm長いのに、WLTCモード燃費は30.8km/Lに達する。カローラツーリングハイブリッドSのWLTCモード燃費は29km/Lだから、プリウスは軽量化や空力特性によって燃料消費量を少なく抑えた。走行距離が伸びるなど、燃料代を節約したいユーザーにとって、大きなメリットを発揮する。
実用性の高さにも注目したい。プリウスはカローラツーリングに比べて、後席の足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、カローラツーリングの後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ1つ半に留まる。それがプリウスであれば、腰が少し落ち込む着座姿勢になるものの、膝先に握りコブシ2つ半の余裕がある。3~4名で乗車する時の快適性は、プリウスが勝る。
荷室については、プリウスはリヤゲートを大きく寝かせたから、背の高い荷物を積む時は不利だ。その代わりプリウスでは、リヤゲートのヒンジが前寄りに装着されるため、開閉時に後方へあまり張り出さない。縦列駐車をしているようなボディの後ろ側が狭い場所でも、荷物を出し入れできる。リヤゲートの開口部も広いから、プリウスならボディの側面に立って、荷物を出し入れすることも可能だ。
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